【2025年1月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2025年1月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2025年1月の金融マーケットは、アメリカのトランプ大統領の経済政策に影響を受けた動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、月前半はトランプ次期政権の関税政策や米 雇用統計 の堅調さを背景に一時158円台まで上昇しましたが、月半ば以降は、米消費者物価指数( CPI )の インフレ 鈍化を受けた米連邦準備制度理事会( FRB )の利下げ期待や、トランプ政権の関税発動見送りから、円買い・ドル売りが優勢となりました。さらに、日銀が追加利上げを決定すると、日米金利差縮小観測が進んで円高傾向が強まり、前月比1.3%円高ドル安の1ドル=155.18円付近で取引を終えました。

 

【株式】

日本株は、月初は米利下げ期待後退や日銀の利上げ観測で下落したものの、半導体関連株の上昇などを受けて一時は4万円を回復。しかし、トランプ政権の関税政策やAI関連の不安から再び下落、 日経平均 は前月比-3.0%の39,572.49円となりました。

中国は、景気減速懸念や米中対立への警戒感で月初から下落。14日に市場支援策が発表されると反発しましたが、米国の対中関税措置の報道などが重しとなり、 上海総合指数 は前月比-3.0%の3,250.60となりました。

インドは、外国人投資家の売りや米長期金利の上昇を受けて月初から下落。月末に金融政策の実施を受けて上昇しましたが、 SENSEX指数 は前月比-1.0%の77,386.72となりました。

ヨーロッパは、好調な企業決算やECBの利下げなどを受けて、月を通じて上昇基調となり、 STOXX欧州600指数 は前月比+6.9%の539.53となりました。

アメリカは、月前半は好調な雇用統計を受けて利下げ期待が後退し下落しました。しかし、中旬以降は好調な企業決算やFRBの利下げ継続見通しを受けてハイテク株が市場の上昇をけん引、月末近くに中国DeepSeek社の低コストAIの登場を受けて一時下落するも、 ダウ平均 は前月比+5.1%の44,544.66ドル、 NASDAQ指数 は+1.8%の19,627.44、 S&P500 は2.9%の6,040.53となりました。

 

【債券】

日本では、日銀の追加利上げや米国金利の動向を背景に、10年国債利回りが月中に1.255%まで上昇(価格は下落)しましたが、その後は買戻しの動きも見られ、10年国債利回りは前月比+13.9bpの1.25%となりました。

アメリカでは、月前半は強い雇用統計やトランプ政権の政策によるインフレ懸念を背景に債券が売られ、10年国債利回りは一時4.79%まで上昇しました。しかし、月後半はFRBの ハト派 的な姿勢や米経済指標の鈍化を受けて買い戻され、10年国債利回りは前月比同水準の4.58%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、FRBの金融政策への期待、地政学リスクの高まり、中国人民銀行の金購入継続、トランプ新政権の関税政策への懸念などを背景に安全資産としての金需要から上昇して30日には史上最高値を更新、 COMEX 中心限月は、前月比+6.2%の1 トロイオンス =2,835.00ドルとなりました。

原油は、月前半は米国の対ロシア制裁強化や寒波による需要増を背景に80ドルを超えましたが、月後半は中東での緊張緩和、トランプ政権の通商政策やOPECへの原油価格引き下げ要求が影響して下落傾向となり、 WTI原油先物 中心限月は前月比-0.8%の1 バレル =72.53ドルとなりました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

トランプ大統領就任と市場の展望

2025年1月、トランプ前大統領が再びホワイトハウスに戻り、金融市場は新政権の政策に注目しています。法人税や所得税の減税、規制緩和、インフラ投資拡大などの成長促進策が期待される一方で、対中関税の強化や財政赤字の拡大が市場の不安材料となっています。

減税や規制緩和、政府支出の増加は企業収益の押し上げにつながるため、米国株式市場にはプラス要因と考えられます。特に、エネルギー、建設、金融、軍需関連の企業は恩恵を受けやすいとみられます。しかし、対中貿易摩擦の再燃が懸念されることから、中国との関係が深いハイテクや製造業の企業は逆風を受ける可能性があります。

債券市場では、減税やインフラ投資による財政赤字拡大に伴い、米国債の発行が増加し、 利回り が上昇する展開が想定されます。一方で、トランプ大統領が FRB に対し積極的な 利下げ を求める可能性があることから、金利の動向は不透明感を増しています。

為替市場では、米国経済の成長期待が高まればドル高要因となりますが、FRBがトランプ政権の圧力を受けて利下げを行う場合、ドル安に転じる可能性もあります。また、トランプ政権のドル安政策が採用されれば、ドル円相場の変動要因になるかもしれません。

商品市場では、財政赤字や貿易摩擦の不透明感が強まると、安全資産としての金の需要が高まり、価格上昇につながる可能性があります。原油市場では、米国内のエネルギー政策による供給増が価格の下押し要因となる一方で、中東情勢の不安定化が進めば供給リスクが意識され、価格が上昇する展開も考えられます。

今後、市場では減税やインフラ投資の具体的な内容や財源、関税政策の方向性、FRBの金融政策の対応、財政赤字の拡大による市場への影響などが注目されます。トランプ政権の経済政策は短期的には景気や株価に追い風となる可能性がありますが、中長期的には インフレ や金利上昇のリスクもはらんでいます。新政権の政策動向を見極めながら、市場の変動に冷静に対応していくことが求められそうです。

 

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

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