2024年6月の金融マーケットの動きをまとめています。
マーケットの動向
マーケット概況
【全体】
2024年6月の金融マーケットは、前月に引き続き、アメリカ連邦準備制度理事会( FRB )による利下げ期待に影響を受けた動きとなりました。
【為替】
ドル・円は、月初はアメリカの利下げ期待や日本銀行による利上げ観測から、一時は1ドル155円台まで円高が進みましたが、日銀が当面は利上げを行わない方針を示したことや、予想を上回る米経済指標の発表、FRBの理事から利上げを維持する旨の発言などが相次ぎ、日米間の金利差は解消されないとの見方から円安が進み、前月比0.3%円安ドル高の1ドル=160.815円となりました。
【株式】
日本は、月中旬にフランスでの国会選挙実施による政治リスクへの懸念から大きく下落したものの、円安の進行やアメリカ株式の上昇を受けて日本株も上昇、 日経平均株価 は前月比+2.8%の39,583.08円で引けました。
中国は、経済指標の悪化や不動産市場の低迷、アメリカや西欧諸国との貿易を巡る対立の悪化を受けて月を通じて下落傾向となり、中国 上海総合指数 は前月比-3.9%の2,967.40で引けました。
インドは、総選挙で与党議席数を大幅に減らしたことから月初に大きく下落したものの、政権の継続や、経済成長予測の引き上げなどから上昇し、インド SENSEX指数 は前月比+6.9%の79,032.73で引けました。
ヨーロッパは、フランスの国会選挙に対する政治リスクの懸念から月中旬に下落しました。下旬にかけては、ECBの利下げ期待やアメリカ株の上昇もあり若干回復したものの、 STOXX欧州600指数 は前月比-1.3%の511.42で引けました。
アメリカは、消費者物価指数( CPI )が市場予想を下回り、連邦準備制度(FRB)による早期利下げ期待が高まったことから月中旬にかけて株価が上昇し、NASDAQ指数、S&P500が史上最高値を連日更新しました。しかし、月下旬には、利益確定の株式売却や、アメリカ大統領選の先行き不透明感から下落傾向となり、 ダウ平均 は前月比1.1%の39,118.86ドル、 NASDAQ は+6.0%の17,732.60、 S&P500 は+3.5%の5,460.48となりました。
【債券】
日本では、月前半はアメリカの金利低下や日銀による当面の国債買入方針の維持を受けて国債が買われて利回りが低下したものの、月後半は、アメリカの金利上昇や、円安の進行を抑えるために政府・日銀が利上げを行うのではないかとの懸念から国債が売られて利回りが低下し、前月比-1.8bpの1.062%となりました。
アメリカでは、月初は雇用統計で予想に反して雇用者数が増え、早期利下げ期待が後退して利回りが上昇したものの、CPIなどの低下が発表されると利下げ期待が強まって利回りが低下傾向となり、10年国債利回りは、前月比-15bpの4.36%となりました。
【商品】
海外商品市場では、金は、月初は上昇したものの、予想外の雇用統計を受けて米利下げ期待が後退して大幅に下落、その後は不安定な値動きとなり、 COMEX 中心限月は前月比-0.3%の1 トロイオンス =2,339.60ドルとなりました。
原油は、需要が増加するとの見方や産油国の減産、中東情勢による供給懸念などから上昇傾向となり、 WTI 原油先物中心限月は前月比+5.9%の1バレル=81.54ドルで引けました。
OECD景気先行指数
※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
主な経済指標
今月の注目トピック
選挙の影響
2024年6月の金融市場では、各国での選挙も市場に影響を与えました。
インドで行われた総選挙により与党の議席数が減少し経済への影響の懸念から株価が下落しましたが、政権の継続や経済成長予測の引き上げが株価を押し上げました。
フランスでも国会選挙が実施されることになり、政権交代による政治リスクへの懸念からヨーロッパ株式市場が一時的に下落しました。
そして、アメリカでは、トランプ元大統領とバイデン大統領の討論会が行われ、バイデン大統領の応答がさえなかったことから、トランプ氏の当選可能性が高まったとして、それに備える動きから株式や国債が売却されるという動きがみられました。
選挙によって政権担当者が変わったり、変わらなくても与党が議席を減らすことで政権担当者の影響力が低下すると、経済政策の変更を余儀なくされることがあり、その結果、各国の経済や景気に大きな影響が出ることから、選挙は金融市場に大きな影響をもたらします。
今年はオリンピックイヤーであり、世界経済に最も大きな影響を与えるアメリカの大統領選挙が11月に予定されています。
また、その前の9月には日本でも自民党総裁選が予定されていますし、直近では7月上旬にイギリス、フランスでも選挙が予定されていて、与党には厳しい選挙戦になるとの予想もあります。
今月以降に行われる各国の選挙が金融市場にどのような影響を与えるのか、注目です。
主な経済イベント
- 1日(月):アメリカ、 ISM製造業景況感指数 (6月)
- 5日(金): アメリカ、 雇用統計 (6月)
- 10日(水):中国、 消費者物価指数 (6月)
- 11日(木):アメリカ、消費者物価指数(6月)
- 15日(月):中国、小売売上高・鉱工業生産指数(6月)
- 18日(木):EU、 ECB理事会
- 30日(火):日本、 金融政策決定会合
- アメリカ、FOMC( 連邦公開市場委員会 )
※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。
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