【2023年3月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2023年3月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2023年3月の金融マーケットは、アメリカのシリコンバレー銀行の破綻に端を発した金融システムに対する懸念の影響を大きく受けた動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、前月の流れを受けて、アメリカでの利上げ継続の見方から1ドル=137円台まで円安が進んでいました。しかし、10日にアメリカのシリコンバレー銀行が規制当局により閉鎖に追い込まれ、その後、米シグネチャー銀行の破綻、クレディ・スイスの経営危機と金融システムに対する不安が高まったことから、安全資産への逃避の動きが強まり、円が買われて一時は130円台まで円高が進みました。月下旬になると、UBSによるクレディ・スイスの救済買収や各国金融当局による流動性の供給などを受けて不安が後退してドルが買い戻され、結局、前月比-2.5%円高ドル安の1ドル=132.79円となりました。

 

【株式】

日本は、月初は米利上げによる景気後退懸念が薄れ株価が上昇したものの、シリコンバレー銀行破綻を受けて金融システム・景気後退に対する懸念が高まり下落、 日経平均 は前月比+2.2%の28,041.48円で引けました。

中国は、上旬に輸入の大幅減少など、内需低迷・景気鈍化を示す経済指標が発表されたことから下落。しかし、その後は景気対策期待などから持ち直し、中国 上海総合指数 は前月比-0.2%の3,272.86となりました。

インドは、経済成長の鈍化見通しや海外の金融システム不安を受けて株価が下落しましたが、月末には不安後退による海外株式の上昇などから上昇、インド SENSEX指数 は前月比0.0%の58,991.52となりました。

ヨーロッパは、米銀の破綻やクレディ・スイスの経営危機を受けて銀行株を中心に株価が下落したものの、スイスのUBSによるクレディ・スイス買収発表などで金融不安が後退すると株価は回復、 STOXX欧州600指数 は前月比-0.7%の457.84となりました。

アメリカは、銀行持ち株会社シルバーゲート・キャピタルやシリコンバレー銀行、シグネチャー銀行と破綻が続いたことから、銀行株が大幅に下落。しかし、銀行の破綻により米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを終了するとの見方や、他行による破綻銀行の支援・処理や当局による資金供給などを受けて金融システムへの不安が後退したことからテクノロジー株を中心に月末にかけて株価は上昇し、 ダウ平均 は前月比+1.9%の33,274.15ドル、 NASDAQ は+6.7%の12,221.91、 S&P500 は+3.5%の4,109.31となりました。

 

【債券】

日本では、日銀の金融政策が変更されなかったことや、米銀の破綻を受けた安全資産への逃避の動きから国債が買われて利回りが低下、10年国債利回りは、前月比-13.5 bp の0.389%となりました。

アメリカでは、 FRB による利上げ終了観測と米経済の景気減速観測から利回りの動きが限定的となり、10年米国債利回りは前月比-4bpの3.44%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、FRBによる利上げ終了観測とアメリカ経済の景気後退観測が拮抗したことから、 COMEX 中心限月は前月比+0.6%の1 トロイオンス =1,999.10ドルとなりました。

原油は、月初に石油輸出国機構(OPEC)が予想外の減産を決定したことから大幅に上昇して1 バレル =80ドル台を回復、原油需要の回復を示す経済統計もあり83ドル台まで上昇したものの、月後半は米経済の景気後退に対する警戒感から下落傾向となり、 WTI原油 先物中心限月は前月比+1.5%の1バレル=76.78ドルで引けました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
※2023年3月分のデータでは、一部国・地域のデータが公表されていないため、当該国・地域のグラフが表示されていません。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

金融システム

今月は、「金融システム」という言葉がマーケットニュースで散見されました。 この言葉は、金融市場や金融機関を通じて、世の中にお金を行き渡らせる仕組みのことを指します。私たちの経済活動にとってなくてはならないものですが、空気や水などと同じで、経済が好調な時には、あまり意識されず、景気が悪くなると使われることが多くなる言葉です。

前回この言葉がよく使われたのは、2008年のリーマンショックの時です。 この時は、2007年のパリバ・ショック(フランスの大手銀行がサブプライムローンを組み込んだファンドの解約を凍結して投資家にダメージを与えたこと)に始まって、2008年にアメリカの大手証券会社が相次いで破綻しました。 アメリカでは、この危機発生の1年ほど前から 逆イールド (長短金利の逆転現象)が起きていましたが、奇しくも、アメリカでは2022年3月に発生した逆イールドが続いています。 3月のマーケットを動かした「金融システム」への不安は一旦は収束しましたが、それがまた繰り返さないのか。今後の金融機関の動きに要注意です。

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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