【2023年2月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2023年2月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2023年2月の金融マーケットは、アメリカの雇用が底堅く、インフレ率の低下が緩やかであるとの統計が示されて、 連邦準備制度理事会 (FRB)による早期の利上げ停止は遠のき、 ターミナルレート (政策金利の最終到達水準)が従来想定よりも高くなるとの見方が広がり、債券利回りは上昇(債券価格は下落)、株価は下落、米ドルは上昇傾向となりました。

 

【為替】

ドル・円は、月初は128円台まで円高が進んだものの、 米雇用統計 で雇用者数が予想を上回る大幅な増加となったことや 消費者物価指数 (CPI)の伸びが減速しなかったことから、FRBは夏前に利上げを終えて年内に利下げを開始するとの見方が後退。債券市場で米国債利回りが上昇したこと、日銀の次期総裁が植田氏に決まり現在の金融緩和政策の維持が表明されたことから、高金利を目的として米ドルが買われて円安ドル高の流れとなり、結局、前月比0.8%円高ドル安の1ドル=130.09円となりました。

 

【株式】

日本は、月初は米欧での金融引締め政策の早期終了観測から上昇したものの、米雇用統計やCPI発表によりそうした見方が後退すると下落し、 日経平均 は前月比+0.4%の27,445.56円で引けました。

中国は、月前半は前月の株価上昇を受けた利益確定の動きなどから下落したものの、経済再開による景気回復に対する期待から月後半には上昇し、中国 上海総合指数 は前月比+0.7%の3,279.61となりました。

インドは、月前半は上昇したものの、月後半には、米欧の株安などを受けて下落傾向となり、インド SENSEX指数 は前月比-1.0%の58,962.12となりました。

ヨーロッパは、月後半以降の金融引締め政策の早期終了観測が後退したものの、企業の好決算などがあったことから上昇して取引を終了し、 STOXX欧州600指数 は前月比+1.7%の461.11となりました。

アメリカは、月初は早期利上げ停止観測から上昇したものの、雇用統計やCPIなどの経済統計で インフレ の鈍化が進んでいないことが示されたことから、年内の利下げ観測が後退して下落。月半ばに自然言語生成AIのチャットGPT採用の動きからハイテク関連銘柄が上昇したものの、 ダウ平均 は前月比4.2%の32,656.70ドル、 NASDAQ は-1.1%の11,455.54、 S&P500 は-2.6%の3,970.15となりました。

 

【債券】

日本では、海外の金融引締政策の長期化観測から、日本でも日銀の イールド・カーブ・コントロール (YCC、長短金利操作)の修正が警戒されて国債が売られ、 長期金利 の指標となる10年国債利回りは、前月比+3.3bpの0.524%となりました。

アメリカでは、雇用統計やCPIの発表でインフレの根強さが示されたことから、FRBによる利上げのターミナルレート予想が引き上げられたため、国債が売られて利回りが上昇傾向となり、10年米国債利回りは前月比40bpの3.92%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、各種経済指標の発表を受けて、アメリカでの利上げ停止が遠のいたとの見方から売られて、 COMEX 中心限月は前月比-5.6%の1 トロイオンス =1,836.70ドルとなりました。

原油は、月前半は中国の経済再開による原油需要増加期待から上昇したものの、月後半は米利上げ停止観測の後退やアメリカでの現有在庫の増加から下落し、 WTI原油 先物中心限月は前月比-2.3%の1 バレル =77.05ドルで引けました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
※2023年2月分のデータでは、一部国・地域のデータが公表されていないため、当該国・地域のグラフが表示されていません。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

チャットGPT

「チャットGPT」とはアメリカのAI研究所Open AIが開発したAIチャットボットのことです。
チャットボットは、企業などのWebサイトやITサービスでも使われていますが、たいていの場合、予め定められた質問に対してのみ、定型的な回答を返すというもので、「チャット(会話)」とは言い難いものもあります。
しかし、チャットGPTは、大量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を生成することができます。

以下は、実際の会話の記録です。
筆者:Can you answer in Japanese?
GPT:はい、どうぞ。
(筆者注:気が利いてますよね)
筆者:なぞなぞを解くことはできますか?
GPT:これは、私が解けるかどうかはわかりませんが、お聞きしたいなぞなぞがあれば、お答えすることができます。
筆者:木が5つ集まると何になる?
GPT:木が5つ集まると、森になります。
(筆者注:正解は、一般には「森林」)
このような質疑応答だけでなく、小説や作詞、プログラミングコードなども生成してくれます。
(筆者注:但し、正しくないこともあるので、実際に使用する際には注意が必要です)

チャットGPTは2022年11月30日に公開されたのですが、このサービスを知ったGoogle社はコード・レッド(深刻な脅威)を宣言し、対応に乗り出したとの報道がされています。
これまでは、何か知りたいことがあればGoogleで検索をしていましたが、キーワードの適切な設定がなければほしい答えにたどり着けない、Google検索では回答の候補を表示するだけ、などの問題がありましたが、チャットGPTは明確な回答を返してくれます。
そのため、これまでのGoogleのビジネスを根底から覆しかねず、「深刻な脅威」とみなされたと考えられます。

そうしたこともあって、2023年2月の株式市場ではチャットGPTが、特にハイテク銘柄に影響を与え、チャットGPTをサービスに取り込むと発表したマイクロソフトは一時大きく株価を上げ、チャットGPT類似のチャットボットの回答に間違いがあると報道されたアルファベット(Googleの親会社)は大きく株価を下げ、AI関連銘柄は各国で株価が上昇するなどしました。

チャットGPTはこれからの世界を大きく変えていくのではないかと考えられています。 どのように世界を変えていくのか、単に金融市場への影響というだけでなく、私たちの暮らしを変えていくという側面においても、要注目のトピックです。

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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