【2023年9月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2023年9月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2023年9月の金融マーケットは、原油価格上昇による物価の再上昇、それに伴う各国中央銀行による高金利政策の長期化が懸念されて、各国の市場に影響を及ぼす展開となりました。

 

【為替】

ドル・円は、月初に日銀の植田総裁がマイナス金利政策の解除など、金融政策の転換に触れたことから一時的に円が買われる動きがあったものの、アメリカ経済の底堅さからFRB( 連邦準備制度 )が金利を長期に高く留めるとの見方から円売りドル買いの動きとなり、財務省の円安けん制発言が相次いだものの、円安の傾向は変わらず、前月比2.6%円安ドル高の1ドル=149.35円となりました。

 

【株式】

日本は、月前半は円安の進行を受けて33年ぶり高値をつけるまで株価が上昇しましたが、後半は、米高金利の長期化観測による米株の下落を受けて大きく下げ、 日経平均 は前月比-2.3%の31,857.62円で引けました。

中国は、景気後退懸念から月初から下落傾向となったものの、住宅ローン規制緩和などの政策期待や景気回復を示す統計の発表などから下落幅が縮小、中国 上海総合指数 は前月比-0.3%の3,110.48となりました。

インドは、月後半に外国人投資家の売りが増えたものの、高い成長率や景気の回復が見込まれるとの見方から上昇し、インド SENSEX指数 は前月比+1.5%の65,828.41となりました。

ヨーロッパは、欧州中央銀行(ECB)が金融引締めが終了に近づいていると示唆したことから上昇したものの、その後は、FRBなど世界の主要中央銀行が政策金利を高く長期に維持すると示唆して景気後退懸念が強まったことから、下落し、 STOXX欧州600指数 は前月比-1.7%の450.22となりました。

アメリカは、月前半はソフトランディング(経済の急激な縮小を伴わない安定的な経済成長)を示す経済指標を受けて上昇したものの、月後半は、原油価格上昇などを受けた再インフレ、FRBによる高金利政策の長期化が懸念され、加えて、連邦債務問題による政府機関閉鎖懸念もあって下落し、 ダウ平均 は前月比-3.5%の33,507.50ドル、 NASDAQ は-5.8%の13,219.32、 S&P500 は-4.9%の4,288.05となりました。

 

【債券】

日本では、日銀が金融政策の現状維持を発表したものの、月前半の植田日銀総裁による金融政策変更の示唆や海外金利上昇を受けて債券が売られ金利が上昇、10年国債金利は、前月比+11.7bpの0.774%となりました。

アメリカでは、月前半は原油価格の上昇や企業の社債発行増加、後半は、FRBによる高金利政策の長期化が懸念されて債券が売られて利回りが上昇し、10年米国債利回りは前月比+50bpの4.59%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、月後半以降、FRBによる高金利政策の長期化懸念が高まり、金利を生まない金は売られて、 COMEX 中心限月は前月比-5.1%の1 トロイオンス =1,866.10ドルとなりました。

原油は、ロシア、サウジアラビアによる減産の長期化の公表やアメリカにおける原油在庫の減少、ロシアによる国内のガソリン、ディーゼル油価格上昇対策としての禁輸措置などを受けて、一時は1バレル=95ドル台まで上昇。結局、 WTI原油 先物中心限月は前月比+8.6%の1 バレル =90.79ドルで引けました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
※2023年9月分のデータでは、一部国・地域のデータが公表されていないため、当該国・地域のグラフが表示されていません。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

原油価格上昇

2023年9月のマーケットでは、原油価格の上昇が各市場に影響しました。 原油価格( WTI原油 先物中心限月)は、2023年6月末には1バレル=70.64ドルでしたが、7~9月に約28.5%上昇しました。 これは、ロシアやサウジアラビアなどの産油国による減産措置が取られたことを中心に、アメリカにおける原油在庫の減少の他、原油需要は底堅いとの見方によるトレーダーによる買い注文など、様々な要素が混ざり合ったことによるものです。

いま世界では、物価上昇を抑えるために中央銀行が金利を引き上げており、物価上昇率は下がりつつありました。 この物価上昇率の低下には、原油価格の低下も一役買っていました。 しかし、原油は経済活動のあらゆるところで直接・間接的に使用されており、原油価格の上昇は、物価上昇につながります。

そうすると、中央銀行は高い金利を長期にわたって維持しなければならず、その結果、企業の利益が上がらなくなり、世界の景気が悪化する。そうしたことが懸念されています。

日本では、原油価格の上昇に加えて、円安も進んでいることから、原油の輸入価格はさらに上昇し、今以上に物価が上昇される可能性も考えられます。 円安を止めるには、日銀が金利を引き上げる必要がありますが、そうすると金利の負担が重くなり、企業や個人の負担が重くなって景気が悪くなるため、そう簡単に金融政策を転換するわけにもいきません。

日本政府・日銀はどう対応するのか、日本以外の政府・中央銀行はどう対応するのか、それによって、私たちの暮らしや、世界経済は大きく影響を受けます。 今後の原油価格の動向に要注意です。

 

主な経済イベント

 

 

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※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

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※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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