【2023年8月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2023年8月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2023年8月の金融マーケットは、アメリカの金融政策と中国の経済の方向性を巡る思惑の影響を受けた動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、月初は、日銀による長期金利の変動上限引上と弱めとなった 雇用統計 の影響で1ドル141円台まで円高が進みました。しかし、日本の実質賃金が予想以上に低下して日本の利上げ開始が疑問視される一方、アメリカの早期利下げ開始観測が後退したことで日米の金利差縮小期待が萎んだことから月中旬にかけて円安が進行し、前月比2.3%円安ドル高の1ドル=145.53円となりました。

 

【株式】

日本は、バブル経済崩壊後の最高値近くまで上昇して始まったものの、利益を確定させる動きや米国債の格下げを受けて大きく下落したものの、月下旬に日米の金融政策の方向性が変わらないことが確認されたことや、アメリカ株の上昇を好感して値を戻し、 日経平均 は前月比-1.7%の32,619.34円で引けました。

中国は、デフレへの懸念や当局の経済対策が具体性に乏しかったこと、月半ばには、中国恒大集団の米破産法15条の適用申請、中国不動産開発大手の碧桂園の経営危機などの不動産業の苦境が伝わって月初から下落基調となり、 上海総合指数 は前月比-5.2%の3,119.88となりました。

インドは、月初に海外株式の下落や外国人投資家の売越しや通貨ルピー安を受けて下落。その後も下落基調が続き、インド SENSEX指数 は前月比-2.5%の64,831.41となりました。

ヨーロッパは、月中旬にかけて中国の景気減速やアメリカをはじめとする世界的な高金利政策継続が懸念されて下落傾向となり、 STOXX欧州600指数 は前月比-2.8%の458.19となりました。

アメリカは、月中旬にかけてハイテク大手の弱い決算や、早期の利下げ観測が後退したことなどから下落傾向となりました。月末近くに、米経済の景気が減速していることを示す統計が発表されると、利上げ停止・利下げの期待から値を戻し、 ダウ平均 は前月比-2.4%の34,721.91ドル、 NASDAQ は-2.2%の14,034.97、 S&P500 は-1.8%の4,507.66となりました。

 

【債券】

日本では、月上旬は国債金利の変動上限変更に伴う動きが一服して国債利回りが低下(価格は上昇)したものの、米長期金利の上昇や円安進行への警戒感から国債は売られて利回りが上昇傾向となり、10年国債金利は、前月比+5.2bpの0.657%となりました。

アメリカでは、米国債格下げや底堅い米経済指標を受けた利上げ継続観測から国債利回りが上昇(価格は下落)。月下旬には米景気が弱まりつつある経済統計が公表されて国債利回りは低下したものの、10年米国債利回りは前月比+12bpの4.09%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、月後半にやや値を戻したものの、米利上げ継続観測から下落し、 COMEX 中心限月は前月比-2.2%の1 トロイオンス =1,965.90ドルとなりました。

原油は、中国の景気減速などのマイナス要因と、産油国による減産維持や世界経済の底堅さなどのプラス要因が交錯した値動きとなり、 WTI原油 先物中心限月は前月比+2.2%の1 バレル =83.63ドルで引けました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
※2023年8月分のデータでは、一部国・地域のデータが公表されていないため、当該国・地域のグラフが表示されていません。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

中国

2023年8月のマーケットのニュースでは、「中国」に関するトピックが目立ちました。 月上旬は、中国当局の経済対策に対する市場の失望感、輸出入の減少やマイナスのCPIなど、景気減速を示す経済統計、月中旬には中国不動産大手、恒大集団の米連邦破産法15条の適用申請、碧桂園(カントリー・ガーデン)の債務不履行(デフォルト)危機、中国の信託大手、中融国際信託の不払い問題が報じられました。 数年前から指摘されていた不動産業の苦境が明確になったことで、莫大な負債を負った不動産業者の破綻が連鎖して、金融危機へとつながるのではないか、との懸念もささやかれています。 これは、かつての日本が経験し、「失われた30年」と言われる長期の経済低迷の元となった、バブル経済の崩壊の過程を想起させるものであるため、中国も日本と同じ道をたどるのではないか、との見方もあります。

中国は、日本の轍を踏まないように、日本のバブル崩壊を研究していたといわれていますが、日本と中国では、人口や社会の成熟度など、様々なものが異なっており、一筋縄ではいかないでしょう。 歴史を振り返ると、かつての中国、オランダ、フランス、イギリス、ソ連、そしてアメリカであっても、経済的に繁栄した国が衰退していますから、衰退は必然のことですが、その原因はどれもみな異なります。 そして、そこから立ち直れたかどうかも、国によって異なります。今回の経済的危機をどのように乗り越えるのか、そして、乗り越えられるのか、今後の中国の経済政策に注目です。

 

主な経済イベント

 

 

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※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

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※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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