【2023年5月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2023年5月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2023年5月の金融マーケットは、各国で異なる動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、月初は、アメリカの地方銀行破綻による銀行危機への懸念や、米連邦準備制度理事会( FRB )が利上げ停止の可能性を示唆したことを受けて134円台まで円高が進みましたが、アメリカの連邦債務上限問題を巡る協議の進展が遅れたことによる安全資産への逃避や、米国債利回りの上昇を受けてドル買いが進んだことから円安ドル高基調となり、前月比+2.2%円安ドル高の1ドル=139.34円となりました。

 

【株式】

日本は、企業の好決算や円安の進行、海外投資家からの資金流入で株価が上昇基調となって、33年ぶりの高値を更新、 日経平均 は前月比+7.0%の30,887.88円で引けました。

中国は、国内需要の弱さを示す統計の発表が相次いだことや、半導体を巡る米中対立、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて下落基調となり、中国 上海総合指数 は前月比-3.6%の3,204.56となりました。

インドは、海外投資家の資金流入や経済成長予想の上振れが好感されたことから上昇し 、インド SENSEX 指数は前月比+2.5%の62,622.24となりました。

ヨーロッパは、米債務上限問題の不透明感や中国の低調な経済指標を受けた景気減速懸念などから月後半に株価が下落、 STOXX欧州600指数 は前月比-3.2%の451.76となりました。

アメリカは、地方銀行の破綻や債務上限問題の交渉の進展が遅れたことから、米国がデフォルト(債務不履行)に陥り世界経済に深刻な影響を与えるのではないかという懸念から月を通じて下落基調となりました。一方で、Googleが生成型AI「Bard」の試験運用を開始したことなどを受けて大手ハイテク銘柄やAI関連の半導体株は買われてNASDAQ指数は上昇、 ダウ平均 は前月比-3.5%の32,908.27ドル、 NASDAQ は+5.8%の12,935.29、 S&P500 は+0.2%の4,179.83となりました。

 

【債券】

日本では、アメリカの債務上限問題を受けて国債金利が上昇し、10年国債金利は、前月比+4.5bpの0.448%となりました。

アメリカでは、連邦債務上限問題の進展が遅れたことや、底堅い経済指標を受けて FRB による追加利上げ予想が出たことから米国債が売られて債券利回りが上昇、10年米国債利回りは前月比+20bpの3.64%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、月初は米地銀破綻による先行き懸念や FRB による利上げが停止するとの期待感から上昇しましたが、その後は米債務上限問題や追加利上げ観測による米国債利回りの上昇を受けて利子を生まない金は売られ、結局、 COMEX 中心限月は前月比-0.9%の1 トロイオンス =1,982.10ドルとなりました。

原油は、アメリカの債務上限問題・追加利上げや中国の弱い経済統計を受けて景気減速による需要減少が懸念されて下落し、 WTI原油 先物中心限月は前月比-11.3%の1 バレル =68.09ドルで引けました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
※2023年5月分のデータでは、一部国・地域のデータが公表されていないため、当該国・地域のグラフが表示されていません。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

連邦債務上限

『Sell in May』とは、『5月に株を売れ』という投資格言です。これは、1~5月にかけて株価が上昇し、6月から下落する傾向があることから、5月に株を売った方がよい、というものです。 2023年5月は、ダウ平均は-3.5%で下落したものの、ハイテク銘柄中心のNASDAQ指数は+5.8%と上昇、幅広い産業をカバーするS&P500は+0.2%と微増でした。 NASDAQの指数が好調だったのは、Googleが生成型AI「Bard」の試験運用を開始したことなどを受けて「FAANG」などの大手ハイテク銘柄やAI関連の半導体株が買われたためで、特に半導体メーカーNVIDIAは一時、時価総額が1兆ドルを越えました。 また、日本では、日経平均が大きく上昇して33年ぶりの高値をつけましたから、こうした銘柄を所有していた人にとっては、『Sell』より『Hold』していた方がよかったといえるかもしれません。 もっとも、金融市場では、米国の債務上限問題は解決したものの、アメリカの利上げ停止や中国の景気減速懸念などの材料も出ています。 『Sell in May』していた方がよかったのか、6月のマーケットがどう動くのかに注目です。

 

主な経済イベント

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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