【2023年10月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2023年10月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2023年10月の金融マーケットは、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの間の戦闘の影響を受けました。

 

【為替】

ドル・円は、月初に1ドル=150円を超えると、政府・日銀の為替介入を警戒した売りが出て、一時は147円前半まで円高が進むも、その後は、日銀の金融緩和政策維持の見方がある一方で、為替介入が警戒されて緩やかな円安傾向となりました。月末に日銀が上限金利の一定程度の超過を容認するという イールド・カーブ・コントロール (YCC、金利操作)の再修正を行うとの報道が出て一時的に円が買われたものの、日銀が金融緩和政策自体は維持すると決定すると急速に円が売られ、前月比1.6%円安ドル高の1ドル=151.67円となりました。

 

【株式】

日本は、月上旬、アメリカでの株高を受けて上昇したものの、米 消費者物価 (CPI)が予想以上に上昇して米株式が下落すると、日本株もつられて下落傾向となり、 日経平均 は前月比-3.1%の30,858.85円で引けました。

中国は、景気後退懸念やイスラエルとハマスの対立による世界経済への悪影響が懸念されて株価が下落しましたが、政府が景気支援策を打ち出すとやや戻し、中国 上海総合指数 は前月比-2.9%の3,018.77となりました。

インドは、中東情勢悪化懸念による世界的な株安や米金利上昇による外資の流出などを受けて株価が下落し、インド SENSEX指数 は前月比-3.0%の63,874.93となりました。

ヨーロッパは、中東情勢悪化による原油供給不安の高まりや金利上昇を受けて株式が売られ、 STOXX欧州600指数 は前月比-3.7%の433.66となりました。

アメリカは、月上旬、米 連邦準備制度理事会 (FRB)の複数の理事の発言を受けて利上げ停止観測が広まり株価が上昇しました。しかし、月半ばに、CPIが予想以上に高かったことや、イスラエルとハマスの軍事的衝突の発生とその拡大懸念による安全資産の逃避買い、金利の上昇、一部ハイテク企業の決算への失望などを受けて下落傾向となりました。月末には中東情勢の悪化懸念が和らぎ株式が買い戻されたものの、 ダウ平均 は前月比-1.4%の33,052.87ドル、 NASDAQ は-2.8%の12,851.24、 S&P500 は-2.2%の4,193.80となりました。

 

【債券】

日本では、海外で金利が上昇したことや、日銀が物価見通しを上方修正するとの見方から債券利回りが上昇(価格は下落)傾向となり、月末には日銀が物価見通しの引上げと長期国債利回りが1%を超え容認を発表すると利回りは更に上昇し、10年国債金利は、前月比+17.8bpの0.952%となりました。

アメリカでは、堅調な雇用統計や予想以上のCPIの伸びを受けた高金利の長期化懸念、米政府の財政赤字による国債増発などを受けて、国債は売られて利回りが上昇。中東情勢悪化による安全資産への逃避買いなどはあったものの、10年国債利回りは一時、16年ぶりに5%を超え、結局、前月比+29bpの4.88%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、イスラエルとハマスの軍事的衝突への懸念から安全資産として買われて上昇傾向となり、 COMEX 中心限月は前月比+6.9%の1 トロイオンス =1,994.30ドルとなりました。

原油は、直近の急激な価格上昇は行き過ぎとの見方から、月上旬に大きく下落いました。その後、イスラエルとハマスの軍事的衝突が起こると、中東での紛争拡大による原油供給懸念が出て相場は上昇しましたが、月下旬に紛争の拡大懸念が和らぐと下落し、結局、 WTI原油先物 中心限月は前月比-10.8%の1 バレル =81.02ドルで引けました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
※2023年10月分のデータでは、一部国・地域のデータが公表されていないため、当該国・地域のグラフが表示されていません。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

原油価格上昇

2023年10月7日、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに対し突如ロケット弾攻撃と戦闘員によるイスラエル侵入を開始、これに対してイスラエルのネタニヤフ首相は「我々は戦争状態にある」とする声明を出して、ハマスに対し過去最大とされる反撃を開始しました。 原油価格( WTI原油 先物中心限月)は、2023年6月末には1バレル=70.64ドルでしたが、7~9月に約28.5%上昇しました。 これを受けて、金融市場では、パレスチナ紛争が他の中東イスラム諸国も巻き込むものに拡大することが懸念されて、米ドル、金、原油が上昇しました。

イスラエルは大規模な地上戦を行うべくガザ地区を包囲しましたが、ハマスがイスラエル侵攻で捕らえた外国人を含む人々を人質として交渉を仕掛けたことや、イスラエルの最大の擁護者アメリカからの強い要請もあって、当初懸念ほど紛争がエスカレートしなかったことから、金融市場の関心は、アメリカの利上げ停止に移っていきました。 この物価上昇率の低下には、原油価格の低下も一役買っていました。 しかし、アメリカはイスラエル支援を決め、予算計上を行っており、国債の大量発行が予想されます。そうすると、米国債利回りは上昇して景気を圧迫しかねません。また、11月に入って、イスラエルは地上戦を開始しています。

イスラエルとハマスの軍事衝突が今後どうなっていくのか、それが世界の政治・経済にどう影響していくのか、注意が必要です。

 

主な経済イベント

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

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