【2026年3月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2026年3月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2026年3月の金融マーケットは、アメリカイラン戦争の影響を大きく受けた動きとなりました

 

【為替】

ドル・円は、2月28日に始まったアメリカ・イスラエルによるイランへの軍事攻撃を受けて、安全資産としてドルが買われたうえ、原油高でアメリカの利下げが遅れるとの見方も広がって、月初から円安ドル高が進みました。月半ばには情勢改善期待や日米欧の金利据え置き決定を受けていったんは円高に振れたものの、その後は戦闘長期化による物価上昇、各国経済への悪影響への警戒から再び安全資産としてのドル買いが優勢となり、27日には160円台を付けました。月末には日本政府の介入示唆や、トランプ大統領が一方的な戦闘終了を検討していることが伝わってドルが売られ、前月比1.7%円安ドル高の1ドル=158.71円で取引を終えました。

 

【株式】

日本株は、月初から中東情勢の悪化を受けた原油高で、景気や企業業績への懸念が強まり大きく下落しました。月半ばには原油高一服や停戦期待で上昇する場面もありましたが、月末にかけて再び警戒感が強まり下落、 日経平均 は前月比-13.2%の51,063.72円で取引を終えました。

中国株は、中東情勢悪化で投資家の慎重姿勢が強まったことや、全人代(日本の国会に相当)で強い景気対策が出なかったことなどから、月を通じて下落し、 上海総合指数 は前月比-6.5%の3,891.86で取引を終えました。

インド株は、中東情勢悪化による原油高やルピー安、海外投資家の売りが出て、月を通じて下落しました。月半ばには買い戻しも入りましたが上昇は続かず、 SENSEX指数 は前月比-11.5%の71,947.55となりました。

ヨーロッパ株は、中東情勢の悪化による原油高でインフレ懸念が強まり、景気や企業業績への不安も広がって、おおむね、月を通じて下落し、 STOXX欧州600指数 は前月比-8.0%の583.14で終了しました。

アメリカ株は、イランとの戦闘開始により、中東産原油輸出の大動脈であるホルムズ海峡の航行が阻害されたことや、イランその他の中東各国の石油・ガス生産施設が被害を受けたことによる原油高で、インフレや景気悪化懸念が強まり、月を通じて下落しました。月末には、トランプ大統領が早期の一方的な軍事作戦終了の意向があるとの報道が出て大きく反発したものの、 ダウ平均 は前月比-5.4%の46,341.51ドル、 NASDAQ 指数は-4.8%の21,590.63、 S&P500 は-5.1%の6,528.52となりました。

 

【債券】

日本では、月初は中東情勢の悪化を受けた原油高や円安を背景にインフレ懸念が強まり、日銀の追加利上げ観測も意識されて利回りは上昇、10年国債利回りは前月比+23.4bpの2.366%となりました。

アメリカでは、中東情勢の悪化に伴う原油高でインフレ再燃懸念が強まり、米連邦準備制度( FRB )の利下げ観測が後退して利上げ観測が出て、10年国債利回りは上昇基調となりました。月末近くに、FRB議長が利上げも利下げも急がないと発言したことや、トランプ大統領が早期の一方的軍事作戦終了の意向を示したとの報道から利回りはやや下がりましたが、10年国債利回りは前月比+33bpの4.30%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、月初は中東情勢の緊迫化を背景に安全資産として買われたものの、その後は原油高を受けたインフレ懸念から利下げ観測が後退して金利の付かない金は売られ、換金売りも重なって大きく下落し一時は前月比で900ドル近く下落しました。月末にはやや持ち直したものの、 COMEX 金先物中心限月は前月比-10.8%の1 トロイオンス =4,678.6ドルとなりました。

原油は、アメリカのイラン攻撃に対してイランがホルムズ海峡の封鎖やペルシア湾岸各国の米軍基地や石油関連施設を攻撃したことで供給懸念が強まり、月を通じて上昇し、 WTI原油先物 中心限月は前月比+51.3%の1 バレル =101.38ドルとなりました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

戦争インフレの先にあるもの

2026年3月のマーケットを動かしたものは、いうまでもなくアメリカ・イランの「戦争」でした。

金融市場は2月28日のアメリカによるイラン攻撃を受けて、株式市場は世界的に下落、債券利回りは上昇(債券価格は下落)してドルが買われ、金は下落するなど、各市場で大きく価格が変動しました。

その中でも特に激しい値動きとなったのが原油です。原油価格の指標の1つであるWTI原油先物は月間で51.3%の上昇となりました(ちなみに、1973年の第1次オイルショックの際には、中東産原油の指標価格は最初の1ヶ月で33.8%上昇しました)。

こうした高騰は、世界の原油産出量の30%を占める中東地域において、原油供給に対する懸念が一気に高まったためです。イランは、中東産原油を世界各地に輸送する大動脈であるホルムズ海峡の航行を阻害すると宣言しました。さらに、自国を攻撃したアメリカの基地が置かれている中東各国の、アメリカ軍基地だけでなく石油関連施設などへもミサイルやドローンで攻撃を行いました。そのため、原油供給に対する懸念が高まり、原油価格が高騰したのです。

日本では、政府の補助金などもあり、ガソリン価格の急騰が、まだ生じていないところもありますが、アメリカでは、開戦前、約2.98ドル/1ガロン(約3.8L)だったものが、3月末には4.02ドルと約34%値上がりしています。

このように、原油価格の急騰は、身近なところではガソリン価格に影響を与えますが、金融市場が警戒しているのはそれだけではありません。原油価格の急騰によりガソリン代が高くなれば、食料や工業製品を運ぶための輸送費も高くなります。また、工業製品の製造には原油を材料とした部品などが使われていますから、食料品や工業製品も値上げされます。

食料品や工業製品の価格が上がると、働く人の生活が苦しくなるので、その給料を上げる必要が出てきます。給料を上げるにはその原資を確保しなければなりませんので、食料品や工業製品を販売する製造業者や小売業者だけでなく、サービス業者も価格を引き上げる、、、といった具合に、経済全般で連鎖的な値上げが始まります。これがインフレです。

金融市場が真に恐れているのは、こうした、戦争による原油高が引き金となって生じる広範な「戦争インフレ」の長期化です。実際、物価上昇の再燃を警戒したアメリカの債券市場では、利下げ期待が完全に後退し、10年国債利回りが再び上昇基調に転じました。

金利が上がれば支払う利息が増えるので、企業は資金調達が難しくなり、活動規模を大きくすることが難しくなります。また、原材料費や人件費の上昇に対応するためには、商品・サービスの値上げをすることが考えられますが、値上げをすればモノは売れなくなります。しかし、値上げをしなければ原材料費や人件費の上昇で利益が削られるので、企業は値上げをしたいけれど値上げは怖いというジレンマに立たされます。そうした企業が増えれば、景気は落ち込んでいきます。景気が落ち込むという考えが共有されれば、株価は下がると予想されるので、目聡い投資家はいち早く株を売り始め、株式市場で株価の下落が生じます。これが3月の市場で見られた下落のメカニズムなのです。

このように、戦争インフレの長期化がもたらす物価上昇は、金利の上昇や企業収益の低下、景気の悪化をもたらします。そうすると、企業の倒産が増え、失業者が増えて、景気はさらに悪くなる、といった悪循環が始まりかねません。しかも、そうした景気悪化の兆候は、昨年後半から、「プライベートクレジット(投資ファンドなど非銀行系金融機関による中堅・中小企業向けの高金利貸付)」の問題として出始めていました。

この戦争インフレが長期化すると、これまでの経済成長を裏で支えていたプライベートクレジット市場の破綻が連鎖し、ひいては、金融危機が生じるのではないかとの懸念が出始めています。

こうした戦争インフレの懸念を生み出したイランへの攻撃を指示したトランプ大統領は、4月に入って、この紛争が終結すれば、ホルムズ海峡は安全を取り戻し、原油価格は下がり、株価は上がると主張しました。果たしてそのようになるのか、金融市場だけでなく、世界中の多くの人々が、この戦争の行方を注視しています。

 

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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