この記事では、『資産管理』とはどのようなものか、そして、どのようなものと考えておくとよいかについて解説しています。
資産管理とは
まず、『資産管理』とはなんでしょうか。
おおよそ、見当がつくかと思いますが、自分の持っている、お金や株、土地などの財産を管理すること、です。
言葉の定義としてはその通りなのですが、実際に資産管理を行っていくときには、次のように考えるとよいと思います。
『資産管理』とは、
① 希望する未来のために、
② 自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して、
③ 資産を効率的に育て・使っていく
こと
以下、それぞれについて解説していきます。
『希望する未来のために』
まず、『希望する未来のために』というのは、「早期退職して、後は悠々自適に生きていきたい(いわゆる『 FIRE 』)」とか、「独立して自分のやりたいことを仕事としていきたい」とか「体が動く限り働き続けたい」などのように、自分の人生における希望、目的や目標をはっきりさせる、ということです。
なぜなら、目的・目標によって、③の『資産を効率的に育て・使っていく』方法が変わってくるからです。
例えば、「45歳までに早期退職して、後は悠々自適に生きていきたい」のであれば、基本的には、退職後に必要となる生活費などの総額を見積もったうえで、支出を抑えながら、株などのリスク資産に投資して財産を増やしていく、というやり方をすることになると思われます。
一方、「45歳までに独立して自分のやりたいことを仕事としていきたい」というのであれば、45歳までに独立に必要となる資金の全額を貯める、というやり方の他に、金融機関から借りたり、起業家を応援してくれるお金持ち(いわゆる『エンジェル投資家』)に出資してもらったり、クラウドファンディングで広く一般の人からお金を集めたり、といったこともできます。
また、「体が動く限り働き続けたい」人であれば、貯蓄のために支出を抑えるよりも、健康に良いバランスのとれた食事をするようにしたり、定期的に人間ドッグを受診したり、ストレスを適度に解消するために旅行したりと、自身の健康維持のための支出を多くした方がよいでしょう。
そのように、人生の目的・目標によって資産の育て方・使い方は異なってきます。
そのため、①に『希望する未来のために』を掲げて、人生の目的・目標をはっきりとさせようというわけです。
『自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して』
次に『自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して』ですが、これは自分の現在の収入は〇円で、支出は△円で、貯金は□円ある、というように、収入・支出・資産を数字で知っておくということです。
①と同様に、自身の収入・支出・資産がいくらであるかということによって、どのように『資産を効率的に育て・使っていく』かが決まるからです。
例えば、
収入:20万円
支出:21万円
貯金:0万円
であれば、まずはとにかく支出を1万円削ろう、となるでしょう。
収入:20万円
支出:21万円
貯金:20万円
であれば、とりあえず、このままでもいいかもしれませんが、貯金を使い切る20か月後までに何か削れる支出がないかなと考えるでしょう。
収入:20万円
支出:15万円
貯金:0万円
であれば、これを続けていけるようにしようとなるでしょう。
このように、収入・支出・資産(貯金など)の状況によって、私たちは行動を変えます。
そのため、『自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して』いくことが大切なのです。
実のところ、資産管理というのは原理としてはそれほど難しいものではありません。
『支出を収入より少なくして資産を増やす』それだけです。
ただ、それこそ、『お金が全てではない』『人生にはお金よりも大切なものがある』ので、収入が十分に多くないたいていの人にとっては、意外と『支出を収入より少なくして』は難しかったりします。
知らず知らずのうちに、支出が収入を上回ってしまうことがあると思います。
それは、収入は1つのところから入るだけなのに対し、支出は支払先の数が多いので、いくらなのかを把握するのがむずかしいからなのだと思います。
だからこそ、『自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して』ということが必要になってくるわけです。
『資産を効率的に育て・使っていく』
そして、最後の『資産を効率的に育て・使っていく』というのが、一般に『資産管理』と呼ばれるものになります。
②の例の、『まずはとにかく支出を1万円削ろう』『貯金を使い切る20か月後までに何か削れる支出がないかなと考える』『これを続けていけるようにしよう』などがそれになります。
『資産を効率的に育て・使っていく』には、『自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して』おく必要があります。
収入・支出・資産の状況に応じて、『まずはとにかく支出を1万円削ろう』『貯金を使い切る20か月後までに何か削れる支出がないかなと考える』『これを続けていけるようにしよう』を決めるからです。
また、『希望する未来のために』が決まっていないと、収入・支出・資産の状況が分かっていても、『資産を効率的に育て・使っていく』ことができません。
例えば、
収入:20万円
支出:20万円
貯金:0万円
の時、「45歳までに早期退職して、後は悠々自適に生きていきたい」という希望を持っている人であれば、貯金を増やすために『早く支出を減らそう』となると思いますが、「体が動く限り働き続けたい」人であれば、『すぐに支出を減らさなくてもいいかな』と考えるかもしれません。
まとめ
『資産管理』とは、お金や株、土地などの財産を育て、使い、守って管理することです。
ただ、実際に『資産管理』を行っていくときには、その意味を少し拡張しておくと、何をすべきかを決めやすくなります。
ですので、『資産管理』とは、
① 希望する未来のために、
② 自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して、
③ 資産を効率的に育て・使っていく
こと
という考え方も、ぜひ、憶えてみてください。
次回の記事、「『増えない給与』には支出のコントロールが必要ーなぜ資産管理?①ー」では、資産管理を行うべき理由について、データも交えながら解説していきます。
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