目標 Goals ― 希望する将来の実現に必要なお金の額を決める

学ぼう!資産管理!!

前回の記事「将来 Vision ― 自分が希望する未来を言葉にして明確にする」では、『資産管理』の5つあるステップの中の、最初のステップについて解説しました。

今回の記事では、2番目のステップについて解説していきます。

 

希望する将来が決まったら、それを実現するための目標を設定する

こちらの記事で詳しく解説していますが、資産管理を行うときには、次の順番で行っていくのでした。

  1. 将来Vision―自分が希望する未来を言葉にして明確にする
  2. 目標Goals―希望する将来の実現に必要なお金の額を決める
  3. 戦略Strategy―目標を達成するための方法を決めて計画を作る
  4. 戦術Tactics―計画を実行するための方法を決める
  5. 実行Action-計画を実行して希望の未来を実現する

前回の記事では、一番最初のステップ『将来Vision―自分が希望する未来を言葉にして明確にする』ことについてご紹介しました。
目指す未来が決まっていないと、何をしていいのか分からないので、このステップが一番大切なのでした。
とはいえ、それほど難しく考える必要はなく、こうなったらいいなという未来を自由に思い描けばいいのです。

もし、特に希望する未来が思いつかないという場合には、

  1. 定年まで会社などで働く
  2. 定年前に稼ぎ切ってリタイア/セミ・リタイアする
  3. 働けなくなるまで働く
  4. 起業・独立する

のどれかを選んで、そこから色々と思いめぐらせてみると、将来のビジョンを描きやすくなります。

そのようにして、希望する未来、将来のビジョンが決まったら、今度は、それを実現するために必要なお金がどれくらいなのかを、考えていきます。
それが、今回の記事のテーマです。

希望する将来の実現に必要なお金の額を見積もる

つまりは、目標を数字、金額で設定するということになります。
なぜ、こうした数字目標を決めるのかと言えば、希望する未来を実現する可能性を高めるためです。

希望の将来を実現するには、ほとんどの場合、お金が必要で、そして、これまたほとんどの場合、その必要なお金を現在持っていません
残念ながら、今の世の中、お金なしには、ほとんど何もできません
自然の中で自給自足の生活、と思っても、ほとんどの人は、その自給自足をするための土地を持っていないので、まずはその土地を、お金を使って購入する必要があるでしょう。

また、その土地を購入するにしても、ほとんどの人は、現在、その未来をかなえられるだけのお金を持っていないことでしょう(持っているのであれば、この記事を読む必要もないでしょうから)。
そのように、希望の未来を実現するためのお金が今ないのであれば、 実現するためにお金を貯めて用意しなければいけません

そして、お金を用意するとなった場合に、とりあえず、できるかぎり節約してお金を貯めよう、と特に目標も決めずにそれを実行して実際にその未来を迎えたら、お金が足りなかった、ということになるかもしれません。
やり直しや多少の修正で何とかなるのであればよいのですが、できなかったときには取り返しのつかないことになってしまうので、やはり、あらかじめ、必要な金額を見積もっておいた方がよいでしょう。

目標はどのように設定すればよい?

それでは、目標はどのように設定していけばよいのでしょうか。
基本的には、その目指す未来の実現に必要な費用を計算して目標を設定していくことになります。
例えば、『40歳で起業する!』のであれば、起業するのに必要な費用を洗い出して、その合計金額を目標に設定すればよいでしょう。
また、「65歳の定年まで今の会社で働いて、その後は平均的な年金生活」というのであれば、『平均的な年金生活』では1か月・1年にどの程度の生活費が必要なのかを調べて、その費用の額を平均寿命より少し長めに設定した年数倍にして計算された金額を目標に設定するとよいでしょう。

こうした計算には、起業にはどのような費用がかかるのかとか、『平均的な年金生活』の生活費はどのくらいなのかといった、費用を見積もるためのデータが必要になります。
それでは、そうしたデータはどこから入手すればよいのでしょうか。

それは、基本的には、国が公開している統計や、関係省庁の作成している報告書、企業などが公表している調査結果などから入手します。
たとえば、以前の記事でもご紹介しましたが、定年後の平均的な1か月の生活費がいくらなのか、ということは、『全国家計構造調査』という統計で知ることができます。
この統計も含め、国が行っている様々な統計調査の結果はこちらのサイトで、無料で公開されていますので、興味のある方はぜひアクセスしてみてください。

ただ、こうしたことを調べるのが好きな方にはいいですが、たいていの方は、データを調べるのは面倒に感じると思います。
そうした方のために、『平均的な年金生活』に関するデータとして、年代別・世帯別の1か月あたりの平均的な収入・支出金額に関する表を作成しましたので、こちらを参考にしてみてください。

希望の未来は人によって様々であるため、様々なデータが必要ですが、現在は『平均的な年金生活』に関するデータについてだけ掲載しています。
今後、専用ページに、目標設定に役に立つ色々なデータを追加していく予定ですので、ご期待ください。

目標の金額を計算してみる

さて、こうしたデータにたどり着いたら、あとは、目標とする金額を決めるだけです。
たとえば、『平均的な年金生活』であれば、年金額では賄いきれない生活費を補うための貯金の金額が、目標とする金額になります。
その金額を計算するには、先ほどのデータから、65~69歳、70~74歳、75~79歳、80~84歳、85歳以上の『公的年金給付』の平均値から『消費支出(生活費)』の平均値を引き、そうして出てきた数字に年金生活を送る年数分だけ掛け算して、きりのよい数字にしたものを目標とするとよいでしょう。

先ほどのリンク先で計算すると『公的年金給付』の平均値は「225,355」、『消費支出(生活費)』の平均は「242,936」になります(それぞれ、L21~P21、L6~P6のセルを選択して、画面右下の『個数:5』と表示されているところをクリックすると平均値が表示されます)。
『公的年金給付』の平均値から『消費支出(生活費)』の平均値を引いてみると、

  225,355(円) - 242,936(円) = -17,581(円)

となります(毎月17,581円不足するというわけですね)。
この不足分を、年金生活を送る期間、ずっと補い続けられるだけの貯金額が、求めるべき目標の金額になるわけです。

ここでは、年金生活を送る期間を65歳から85歳の20年間としておきましょう。
そうすると、必要な貯金額は、

  17,581(円) × 12(か月) × 20(年) = 4,219,440(円)

と計算されます。
あとは、この金額をきりのよい数字にしたり、もらえる年金の額が減らされるかもしれないな、というのであれば、この金額よりも多めにしておくなどの調整を加えれば、目標とする金額を決めることができるでしょう。

ここでは、公的年金給付額を月225,355円としていますが、この金額は、2019年の全国家計構造調査の数字から計算した『世帯の平均額』です。
年金給付額は加入している年金の種類(国民年金、厚生年金など)や、納付額によって異なります
また、『世帯』単位で集計されているため、給付額は夫婦のそれぞれが受け取る年金額の合算であるため、単身整体の場合には、上記平均値よりもずっと少ない金額になると推測されます。
一般的には、老後資金として2,000万円の蓄えが必要と言われています(『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』P16 )。
上記計算はあくまで、統計の平均値を用いて計算した結果ですので、実際に老後に必要な蓄えの金額を計算する際には、ご自身の世帯構成や年金納付金額などを確認の上、日本年金機構などが提供する情報などに基づいて算出されるようにお願いいたします。

ここでは寿命を85歳として計算しましたが、平均寿命については、こちらにデータがありますので、実際に計算をされる際に参考にしてみてください。

まとめ

今回は、『資産管理』を行うための第2のステップ、「目標Goals―希望する将来の実現に必要なお金の額を決める」について解説しました。

希望する未来、将来のビジョンが決まったら、今度は、それを実現するために必要なお金がどれくらいなのかを、考えていきます。
なぜならば、数字目標を決めることで、希望する未来を実現する可能性を高められるからです。

目標を決めるには、その目指す未来の実現に必要な費用を見積もっていきます。
そうした費用を見積もるためのデータとしては、国や企業が公表している様々なデータがあるので、そうしたものを活用していくことになります。
ただ、そうしたものを調べるには、時間と労力がかかるので、こちらのページに掲載されているデータを活用してみるのもよいでしょう。

データが入手出来たら、あとは計算あるのみです。

このようにして、希望する将来の実現に必要な目標金額が計算できたら、次は、その目標金額を実現するための戦略を立てていくことになります。 次回の記事では、その戦略の立て方について、解説していきたいと思いますので、ぜひ、読んでみてください。

 

 

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