自分の大切なもののために、はじめよう!資産管理!!

学ぼう!資産管理!!

前回の記事「延びゆく寿命!老後資金はいくら必要?だからこそ計画的にお金を貯めることが必要 」では、お金持ちでなくても資産管理を行う必要がある理由として、寿命が延びていくなか、公的年金だけでは生活していけない可能性があるため、老後資金を準備するために、お金を適切に管理することが必要、ということを解説しました。

今回の記事では、これまでに解説してきたことを簡単に振り返って、次回以降に解説していく『実践!資産管理』につながるように、『なぜ資産管理?』なのかをまとめたいと思います。

 

資産管理とは

さて、まず、一番最初にお話ししたことは、「『資産管理』とは?」でした、
『資産管理』とは、「自分の持っている、お金や株、土地などの財産を管理すること」でした。

ただ、実際に資産管理を行っていくのであれば、次のように少し細かく定義しておくのがよいのでした。

『資産管理』とは、

 ① 希望する未来のために、
 ② 自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して、
 ③ 資産を効率的に育て・使っていく

こと

なぜかというと、まず、「① 希望する未来のために」については、人生の目的・目標によって資産の育て方・使い方は異なるからでした。
例えば、「身体が動く限りは働き続けたい」という人と、「45歳までに早期退職して、後は悠々自適に暮らしていきたい」という、いわゆる『FIRE』を考えている人であれば、お金の使い方が異なってくるはずだからです。

次に、「② 自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して」は、私たちは収入・支出・資産がどれほどなのかによって行動を変えられるからでした。
例えば、収入が20万円なのに支出が21万円、貯金が0円であれば、まずはとにかく支出を1万円削ろうと考えて、削れるものを削ろうとするはずだからです。
別の言い方をすると、自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握していなきれば適切な行動をすることはできず、それらがそれぞれどのようになっているかということを知ることで、はじめて、私たちは適切な行動をとることができるようになるということです。

そして、「③ 資産を効率的に育て・使っていく」は、これこそが資産管理の実践そのもの、「自分の持っている、お金や株、土地などの財産を管理すること」です。
これまでに挙げた2つのことを行うことで、資産管理の目的と自分がすべきことが明確になり、「資産を効率的に育て・使っていく」ことができるようになるのです。

このため、『資産管理』は

 ① 希望する未来のために、
 ② 自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して、
 ③ 資産を効率的に育て・使っていく

こと

と定義するのがよいというわけです。

※詳しくは「『資産管理』とは? ―希望する未来のために効率的に資産を育て使うこと―」の記事をご参照ください。

 

なぜ資産管理?

さて、これまでに見てきたような『資産管理』というのは、一般的には、お金持ちの人が行うもの、という考え方が一般的ですが、これからはお金落ちでない人も行う必要があります。
なぜか。
その理由は、大きく3つありました。

資産管理の理由その1『増えない給与』

まず、一つ目の理由は『増えない給与』。
収入が増えないから、一生のうちに稼げるお金の額が限られてくるので、限られた収入の中で、『何に』『どれくらい』使えるかを知って、支出をコントロールする必要があるから、でした。

それを示しているのが、こちらの日本の平均年収の推移で、

日本の平均年収の推移

この20年間で、全体的な平均年収はほとんど変わらないか、むしろ減っているのでした。
現在の日本の経済情勢などを見ていると、今後、給与が増えることもあるとは、もちろんあるとは思われるものの、それほど劇的に上がるようにも考えられません。
そして、公的年金や健康保険などの負担は収入が増えるほど増加していくため、給与が上がったとしても、手取り金額はそれほど増えません。

そのため、資産管理を行って、自分が生涯で獲得できる収入額がいくらなのかを踏まえた上で、それに応じた支出をしていくことが大切なのです。

※詳しくは「『増えない給与!だからこそ支出のコントロールが必要 ―なぜ資産管理?①」の記事をご参照ください。

資産管理の理由その2『上昇する物価』

2つ目の理由は『上昇する物価』。
日本では物価が上昇する一方で金利はほぼ0であるため、ただ単にお金を銀行などに預けて貯金するだけでは、損をしてしまうからです。

2021年の終わりごろに、牛丼チェーンなどで値上げが相次ぎ『ミートショック』という言葉が使われたように、日本では、特に食料品の価格が上昇しているのです。
それを示すのが日本の食料品の価格水準の推移を表すグラフで、

消費者物価指数の推移

2013年以降、8年間で約13%も価格上昇が起こっているのでした。
一方で、銀行に預けたときにもらえる利息の方は、比較的条件のようネット銀行の定期預金でも年率0.1%であり、物価上昇率の方が高いため、お金を銀行に預けておくだけだと、今日買えていたものも1年後、10年後には買えなくなってしまうのでした。

お金の交換価値の変化

そのため、資産管理を行って、今日買えるものを1年後、10年後も買えるように、お金を適切に管理する必要があるのでした。

※詳しくは「上昇する物価!お金の価値が減っていく今、お金の適切な管理が必要 ―なぜ資産管理?②―」の記事をご参照ください。

資産管理の理由その3『延びゆく寿命』

そして、3つ目の理由は、『延びゆく寿命』。
日本では医療の発達などにより平均寿命が延びており、定年後の年金で生活する期間が長くなる一方で、公的年金の支給額だけで定年後の生活費全てをまかなうことは難しい可能性が高く、その不足分を埋めるための貯金を働けるうちにしておく必要があるのでした。

それを示す資料として、2007年と2020年の平均寿命の比較をしたこちらのグラフと

平均寿命

年代別の平均的な年金額と生活費の様子を示したこちらのグラフ

がありました。

日本では少子高齢化が進む一方、経済は「失われた30年」といわれるように、経済がほとんど成長しておらず、もらえる年金の水準が増えていくとは考えづらい状況です。

そのため、資産管理を行って、老後の資金を、働いて稼げる現役時代の内に、蓄えておく必要があるのでした。

※詳しくは「延びゆく寿命!老後資金はいくら必要?だからこそ計画的にお金を貯めることが必要 ―なぜ資産管理?③―」の記事をご参照ください。

 

『資産管理』何をすればいいの?

このように、『増えない給与』『上昇する物価』『延びゆく寿命』という3つの理由があるので、私たちは、

 ① 希望する未来のために、
 ② 自身の収入・支出・資産がどれほどなのかを把握して、
 ③ 資産を効率的に育て・使っていく

という『資産管理』をする必要があるのです。

それでは、『資産管理』はどのように行えばよいのでしょうか。

それは、

 ① 自分が希望する未来を明確にすること
 ② 自身の収入・支出・資産が現在どれほどなのか、今後どうなるのかを把握して、お金をどのように使い・貯めていくのかの計画を立てること
 ③ 計画に沿ってお金を使い・貯めていくこと

です。

まず、「① 自分が希望する未来を明確にすること」がスタートになります。
なぜなら、先にも述べたように、「身体が動く限りは働き続けたい」という人と、「45歳までに早期退職して、後は悠々自適に暮らしていきたい」という人とでは、お金の使い方・貯めるべき金額が異なってくるからです。
人生の目的、ゴールが決まることで、計画の方向性、戦略が決まるので、まずは、「自分が希望する未来を明確にすること」が必要なのです。

次に、「② 自身の収入・支出・資産が現在どれほどなのか、今後どうなるのかを把握して、お金をどのように使い・貯めていくのかの計画を立てること」。
目的・ゴールと、現在の自分の収入・支出・資産がいくらなのかが分かれば、老後資金がいくら必要なのか、現在の貯蓄額との差がいくらなのか、その差を埋めていくためには毎年いくらずつ貯めていく必要があるのか、そして、毎年貯める金額を確保するには、収入と支出がどうなればよいのか、といった、お金をどのように使っていけばいいのかということが自然と分かります
さらに、未来の収入・支出がどのようになるのかということも考え合わせることができるのなら、これらの金額を、より現実的なものにすることができるでしょう。

このようにして計算した金額などを全てまとめたものが、人生における「計画」、すなわち『ライフ・プラン』となるのです。

そして、このような『ライフ・プラン』ができれば、あとは、「③ 計画に沿ってお金を使い・貯めていくこと」あるのみです。

これが、『資産管理』の行い方です。

 

はじめよう!資産管理!!

今回は、『資産管理』が必要な理由3つを簡単に振り返ったうえで、『資産管理』とはどのように行うものなのかについて、おおまかな解説をしました。

給与が増えないので一生のうちに使えるお金が限られているから、お金を計画的に使わないといけない。
物価、特に食料品の価格が上がっているのに金利が低いから、今日の100円を銀行に預けておいても、1年後、10年後には、今日買えたものが買えなくなってしまう。
寿命が延びているのに定年後にもらう年金では生活費をまかなえない可能性があるので、その不足額を働けるうちに貯めておかないといけない。

そのため、

 ① 自分が希望する未来を明確にし、
 ② 自身の収入・支出・資産が現在どれほどなのか、今後どうなるのかを把握して、お金をどのように使い・貯めていくのかの計画を立て、
 ③ 計画に沿ってお金を使い・貯めていく

『資産管理』の実践が必要になるのでした。

 

次回以降の記事では、『資産管理』の実践について、解説していきます。

これまでの記事では、かなり悲観的なことを書いてきました。
しかし、それは、あくまで、現在の経済環境やデータからの推察であり、その推察がそのまま実現するわけではありません

仮に実現するとしても、その悲観的な未来に対応するための対策を立てて、それを実践していけば、推察とは異なる未来にたどり着くことができます。

次回以降の記事では、そうした推察とは異なる未来に到るための様々な知識やお役立ちツールなどをご紹介していきますので、ぜひ、それらの記事もお読みいただいて、『資産管理』を始めてみてください。

『資産管理』というと、とかく、株や投資信託、不動産などでいかにしてお金を増やすかというところに焦点が当たりがちですが、私たちの考える『資産管理』の本質は、単なる老後資金のための、お金の使い方・増やし方ではありません。
手順の一番最初にある『自分が希望する未来』を実現すること、それこそが、本質であり、お金の使い方・増やし方はその『自分が希望する未来』を実現するための手段にすぎません

人は、いずれの日にか必ず、その生を終えます。
その生を終える日が近づくと、それまでの自分の人生を振り返る時がやってくるようです。
その時に、「いい人生だった」と思えること、それが最も大切なことなのではないかと私は思っています。

人の価値観はそれぞれですので、そうした人生を送ることだけがよいわけでは、もちろん、ありません。
『資産管理』をしなくても、その時その時を自分の判断・決断で生きていくのであれば、納得のいく人生になるでしょうし、むしろ、何も考えない、感じない方が、悩みもなく、苦しみや悲しみもないので幸せな生き方のようにさえ思われます。

日本では、お金に執着することはあまりよいことではなく、お金よりも大切なものがある、と考える傾向があるように思われます。
それは、まったくもってその通りなのですが、しかしながら、そのお金よりも大切なものを手に入れるためには、たいていの場合、お金が必要です

私たちのほとんど全てにとって、最も大切なものは生命だと思います。
しかし、その生命を手に入れる、別の言葉で言うと、生命を維持する、生き続けるためには、お金を使って食料を買って食べること、暑さ・寒さなど自然環境から身を守るための住居や衣服などが必要です。

そうしたものを自然の恵みから得て、自給自足の生活を、と言っても、現在の日本では、おそらく、ほとんどの土地は誰かの所有物なので、自給自足のための森や田畑ですら、お金を使って買わなければ、お金を使わずに生きていくという生活を現実に実行することはできないでしょう。

そのように、おそらくは、私たちの生きている現在の世界というのは、お金よりも大切なものがあるけれども、その大切なものを得るためには、お金を使わないといけない世界になっているのでしょう。
お金は目的ではなく、目的を達成するための手段になっている、それがこの世界の仕組みであるように思われます。

それゆえに、自分の大切なもののために、目的を達成するための手段、お金の使い方、管理というものが大切なのだと思います。
特に今の時代は、政治や社会、経済の事情により、お金を得ることが難しいため、お金の使い方・管理が必要不可欠になっていると考えられます。

私たちは、自分にとって何か大切なもののために、あるいは、その大切なものを探して、探し当てた大切なもののために生きていきたいと思って生きているのだと思います。
そして、いつの日にか、私たちはその生を終える時を迎えますが、その時を迎える際に自分の生きてきたわだちを振り返り見て、自分が生きてきたことについて思いを巡らせる日が来るのだと思います。
そのときに、自分の大切なもののために生きられたと思えたなら、「いい人生だった」と思うことができたのなら、それはこの上なくよいこと、幸福なことなのではないかと思います。

その『大切なもの』を得るには、私たちがいま生きているこの世界では、何らかの形でお金が必要です。
お金よりも大切なもののためにお金が必要というのは、なんともこの上ない皮肉ではあります。
しかし、真に大切なものであればこそ、その大切なものを損なわない限りにおいて、その達成や維持のために、必要なことは全て行うべきなのだと思います
そう考えるなら、お金を上手に使っていくこと、それを考えることは何ら否定されるべきことではないのではないでしょうか。

そうであるならば、私たちが、私たちにとって『大切なもの』を未来で実現するために、ぜひ、お金と上手に付き合ってみてください。
未来はどうなるかわかりませんし、その未来に対して、現在の私たちはそれほど多くの希望を見いだせない状況ではあります。
しかし、どうなるかわからないからこそ、未来には希望があるのです

私たちは、過去を変えることはできませんが、未来を創っていくことができます。
なぜなら、未来とはまだ何も決まっていない、私たちの行動とその結果が過去となるところだからです。

未来は全て、私たち次第です。
その未来を私たちの大切なものを実現するところとするために。
はじめよう!資産管理!!

 

 

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