【2022年1月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2022年1月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2022年1月は、アメリカ金融政策への不透明感が広がったことがマーケットに大きな影響を与えました。

今年最初の株式市場は、上昇して始まる市場が多かったものの、その後は、 アメリカ連邦準備制度理事会 ( FRB )関係者の発言や議事録から、FRBが インフレ 抑制のため積極的な 利上げ に踏み切るというタカ派的姿勢が示され、アメリカ株は下落傾向、金利は上昇傾向となり、日本やヨーロッパ諸国の株価・金利も上昇傾向となりました。
月中旬、アメリカなど各国で物価などの経済統計が公表されると、物価の上昇が続いていること、物価上昇や新型コロナのオミクロン株の蔓延が企業活動に影響を与えていることなどが意識され、インフレ抑制のためのFRBによる利上げへの懸念が強まり、株価の下落と金利の上昇が傾向が続きました。
しかし、月下旬になると、月初から大きく下落したことによる株価の反転上昇を狙う投資家の買いを受けて株価は上昇、ウクライナをめぐるロシアとアメリカ・ヨーロッパの緊張の高まりなどを受けて、アメリカ・ヨーロッパでは国債が買われて金利が低下しました。

 

【為替】

ドル・円は、月初に1ドル=116円台まで上昇したものの、アメリカFRBによる利上げ観測が高まってアメリカで株価が下落に転じると、リスク回避の円買いから月中旬まで円高傾向となり、一時は113円台後半まで円高が進みました。しかし、月下旬に入ると、ウクライナ情勢の緊迫化やアメリカ株式・金利の反転上昇などから円安傾向に転じ、前月比0.00%の円安ドル高の1ドル=115.10円となりました。

 

【株式】

日本は、今年最初の取引日は大幅に値上がりしたものの、その後はFRBの利上げ観測、それを受け下落を続けたアメリカ株の影響を受けて月末近くまで下落傾向となり、日経平均は26,100円台まで下がりましたが、月末に企業の好決算が発表されると多少値を戻し、 日経平均 は前月比-6.2%の27,001.98円で引けました。

中国は、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染が拡大し、北京五輪のために採られた「ゼロコロナ」政策によるロックダウンや工場閉鎖などが増加して景気減速懸念が出たことや、アメリカの金利上昇を受けた海外投資家の資金引き上げなどもあって月を通じて下落基調となり、中国 上海総合指数 は前月比-7.6%の3,361.44となりました。

インドは、月前半は、2021年の経済成長率が上方修正される見込みとなるなど、経済成長加速観測を受けて上昇したものの、月後半は海外の株安を受けて外国人投資家の資金流出が続いて下落傾向となり、インド SENSEX指数 は前月比-0.4%の58,014.17となりました。

ヨーロッパは、月半ばは好調な企業業績への期待から株価は比較的安定していたものの、アメリカFRBの利上げ観測やウクライナ情勢の悪化懸念から下落し、 STOXX欧州600指数 は前月比-3.9%の468.88となりました。

アメリカは、株価指数が最高値を更新して始まったものの、その後はFRBの利上げ観測から下落基調となりました。特に利上げにより収益の悪化が懸念されるハイテク株が大きく下落、月末にアップル社の好決算や売られすぎとの見方から株価は多少上昇したものの、 ダウ平均 は前月比-3.3%の35,131.86ドル、 NASDAQ は-9.0%の14,239.88、 S&P500 は-5.3%の4,515.55となりました。

 

【債券】

日本では、月上旬と下旬に、アメリカでの利上げ観測から国債が売られて債券利回りが上昇。 長期金利 の指標となる10年国債利回りは8.8bp上昇して、2016年1月の日銀によるマイナス金利導入以来最も高い水準である0.177%となりました。

アメリカでは、一時的に利回りが低下することはあったものの、FRB当局者の発言などを受けて、年内に行われる利上げ回数や、3月に予定されている利上げ幅に関する懸念が広がり、債券が売られて利回りが上昇する流れとなり、10年米国債利回りは27bp上昇の1.79%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、ドルが上昇したことや、アメリカの利上げ観測で金利を生まない金の魅力が低下したことなどから売られ、 COMEX 中心限月は前月比-1.8%の1 トロイオンス =1,796.4ドルとなりました。

原油は、市場の予想以上に需要が強いことが統計から示されたことや、ウクライナ問題におけるロシアとアメリカ・ヨーロッパの緊張の高まりを受けて月を通じて上昇傾向となり、 WTI原油先物 中心限月は前月比+17.2%の1 バレル =88.15ドルで引けました。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

FRBによる利上げ懸念

アメリカの FRB ( 連邦準備制度理事会 )による 利上げ が、経済や株価に負の影響を与えるのではないかとの懸念が金融マーケットで広がっています。
新型コロナウイルス感染症が世界中に広まった結果、各国で行動規制が行われて生産や運送が止まり、世界的な製品不足が発生しています。
アメリカでは金融緩和で金利を引き下げて市中に大量のお金を供給した結果、製品やサービスに対するお金の価値が下がったため、物価上昇が高止まりしています。

こうした物価の上昇に対しては、金利を引き下げて市中のお金を回収することが基本的な金融政策になりますが、金利の引き上げ幅が大きかったり、急速な金利引き上げを行った場合には、市中のお金が急速に減少して、景気悪化や株価下落を招くことがあります。
FRB議長は経済と物価のバラスを考えて適切な利上げを行うと発言していますが、これは逆に、利上げの道筋を示していないことでもあるため、マーケットでは、今後、場合によっては大幅・急激な利上げにより、景気悪化や株価下落を招くのではないかとの懸念が出ています。

 

主な経済イベント

・1日(火):アメリカ、 ISM製造業景況感指数 (1月)

・4日(金):アメリカ、 雇用統計 (1月)

・10日(木):アメリカ、 消費者物価指数 (1月)

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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