【2024年4月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2024年4月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2024年4月の金融マーケットは、アメリカで根強いインフレを示す経済指標が発表されて早期の利下げ期待が後退したことや、イラン・イスラエルの報復合戦による中東情勢の緊迫化の影響を受けた値動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、アメリカで、 インフレ が根強いことを示す消費者物価指数( CPI )などの経済指標の公表が相次ぎ、利下げ期待が後退したことから、月を通じてドルが買われました。29日には、日本銀行による市場介入と考えられる円買いがあったものの、円は34年ぶりの水準まで下落し、前月比4.3%円安ドル高の1ドル=157.80円となりました。

 

【株式】

日本は、アメリカでの利下げ後退観測や中東情勢緊迫化を受けて下落傾向となりました。月下旬に米ハイテク株の上昇を受けて上昇したものの、 日経平均 は、前月比-4.9%の38,405.66円で引けました。

中国は、月前半は景気減速への懸念から下落したものの、月下旬に世界的投資会社による投資判断引上げや不動産業界への追加刺激策への期待から上昇し、中国 上海総合指数 は前月比+2.1%の3,104.82となりました。

インドは、月中旬にアメリカでの利下げ後退観測や中東情勢緊迫化を受けて株価が下落、その後は米欧株式の上昇を受けて株価は上昇し、インド SENSEX指数 は前月比+1.1%の74,482.78となりました。

ヨーロッパは、月中旬にアメリカでの利下げ後退観測や中東情勢緊迫化を受けて株価が下落、月下旬ににはハイテク企業の業績を好感して上昇したものの、 STOXX欧州600指数 は前月比-1.5%の504.89となりました。

アメリカは、月前半は企業業績への期待などから上昇したものの、消費者物価指数などの経済指標で根強いインフレが示され、連邦準備制度( FRB )理事から金利の高止まり発言が相次ぐと、高金利が続くことへの懸念から株価は下落。月下旬にハイテク企業の好決算で株価は上昇したものの、 ダウ平均 は前月比-5.0%の37,815.92ドル、 NASDAQ は-4.4%の15,657.82、 S&P500 は-4.2%の5,035.69となりました。

 

【債券】

日本では、円安進行を受けた日本銀行による利上げ観測が出て債券が売られて 利回り が上昇。日銀による金融政策の維持や為替介入があったものの、10年国債金利は、前月比+12.9bpの0.879%となりました。

アメリカでは、消費者物価指数などの経済指標で根強いインフレが示されて、FRBによる利下げ期待が後退したことから債券が売られて利回りが上昇、10年国債利回りは、前月比+49bpの4.69%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、中東情勢に対する懸念から資産の逃避先として買われ、月中旬に2,400ドル台まで上昇したものの、月下旬には中東情勢の緩和や米利下げ観測の後退から売られて上げ幅を縮め、 COMEX 中心限月は前月比+2.9%の1 トロイオンス =2,302.90ドルとなりました。

原油は、中東情勢を受けて上げる場面もあったもののアメリカでの在庫増加や中国の景気減速懸念などから下落し、 WTI原油 先物中心限月は前月比-1.5%の1 バレル =81.93ドルで引けました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

日本銀行による市場介入の可能性

2024年4月の金融市場では、外国為替市場で大きな値動きがありました。 アメリカで公表された消費者物価指数(CPI)などのデータが示す根強いインフレの影響で、利下げの期待が後退してドルが強まりました。 この動きは、特にドル・円相場で顕著となり、円安ドル高が進んで、29日には円は一時は1ドル=160円台と34年ぶりの安値水準まで落ち込みました。 しかし、その後すぐに、円は一時154円台まで円高が進み、結局、月末には、1ドルが157.80円付近で引けました。

この急激な円高について、市場では日本銀行が市場介入を行った可能性を指摘しています。 市場介入とは、中央銀行が外国為替市場で直接通貨を売買することにより、通貨の価値を安定させようとする行為ですが、財務省や日銀からはこの件に関して明確なコメントは出されていません。

為替レートが大きく動くと、それはただ為替レートの数値が変わるだけでなく、実際の経済活動にも大きな影響を与えます。 円が安くなると、日本の輸出企業は海外での競争力が増しますが、一方で、輸入品である原材料やエネルギー価格が上がるので、私たちの生活に直接的な影響が生じる可能性があります。 そのため、政府や日本銀行は為替市場の動きを注視し、必要な場合には市場介入を行うことがあるのです。

もっとも、市場では、日本の介入に対して懐疑的な見方もあります。 現在の円安ドル高の根本的な理由は、日本の金利は低い一方、アメリカの金利は高いことで、円ではなくドルで預金をした方がより多くの金利収入を得られるのでドルが買われているのです。 日銀は、先月、金融政策を変更して、マイナス金利を終了しましたが、当面は、低い金利水準を保つとも表明しています。 そして、アメリカでは消費者物価指数(CPI)などの経済指標でインフレが根強く続いていることが示され、インフレを収めるため、しばらくの間は金利が高いままとなると予想されています。 そのため、日銀が市場介入を行って一時的に円高となっても、市場参加者はドルを安く買うチャンスと考えて円を売ってドルを買おうとすると考えられるので、日銀が金利を上げるか、アメリカの中央銀行FRBが金利を下げない限りは、円安ドル高は続き、日銀がいくら市場介入を行っても効果は一時的にとどまる、と考える人もいるのです。

先に述べたように、為替レートの変動は、私たちの生活にも大きな影響を与えますから、政府・日銀は為替レートの変動を注視し、必要な対策を講じてくるでしょう。 今後、政府・日銀がどのような動きをするのか、注目が必要そうです。

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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