2025年7月の金融マーケットの動きをまとめています。
マーケットの動向
マーケット概況
【全体】
2025年7月の金融マーケットは、アメリカの通商政策が各市場に影響を与えた動きとなりました。
【為替】
ドル・円は、月を通じて円安傾向となりました。トランプ大統領が月上旬に日本などに対する高率関税の発動を示唆し、6月のアメリカ消費者物価指数( CPI )などが市場予想を上回ったことから、インフレが懸念され、米金利が上昇し、ドル買いが進行しました。月下旬には、 FOMC で利下げが見送られ、日銀も利上げに慎重な姿勢を維持したことから、日米金利差の拡大が意識されて円安が進行、前月比4.7%円安ドル高の1ドル=150.74円で取引を終えました。
【株式】
日本株は、月前半は関税交渉や参議院選挙による政局不透明感で方向感のない動きでしたが、月下旬に日米関税合意と新政権期待で急騰。その後下落したものの、 日経平均 は前月比+1.4%の41,069.82円となりました。
中国株は、米中関係改善や中国政府の政策期待を背景に月初から上昇しました。しかし、最終日に景気刺激策への失望と景況感の悪化で下落し、 上海総合指数 は前月比+3.7%の3,573.21で取引を終えました。
インドは、デフレ懸念や、通貨ルピー安、米関税の影響懸念などから月を通じて下落し、 SENSEX指数 は前月比前月比-2.9%の81,185.58となりました。
ヨーロッパは、月上旬はアメリカとの関税交渉の妥結期待から上昇しましたが、月中旬以降は米国による追加関税の表明などで下落基調となり、 STOXX欧州600指数 は前月比+0.9%の546.11で終了しました。
アメリカは、通商政策を巡る懸念はくすぶったものの、交渉進展への楽観的な見方や、AI関連株や一部好決算銘柄の上昇が相場を支え、S&P500は、28日に過去最高値を更新しました。その後は FRB が金利据え置きを決めたことや経済見通しへの警戒感から下落、 ダウ平均 は前月比+0.1%の44,130.98ドル、 NASDAQ指数 は+3.7%の21,122.45、 S&P500 は+2.2%の6,339.39となりました。
【債券】
日本では、米金利上昇や参院選後の財政拡張観測、日米通商合意を受けた日銀の早期利上げ観測から売られて、10年利回りは月末にかけ1.6%台まで上昇、10年国債利回りは前月比+9.7bpの1.559%となりました。
アメリカでは、月前半は、強めの経済指標や利下げ観測の後退から債券が売られて利回りが上昇し、一時4.5%台に達しましたが、月後半はFRB理事の発言を受けた利下げ期待などから低下し、10年国債利回りは前月比+13bpの4.37%となりました。
【商品】
海外商品市場では、金は米利下げ期待やドル安・金利低下を背景に、安全資産としての需要から月下旬に急騰し、1トロイオンス=3,443ドルを付けましたが、その後は米通商交渉の進展や経済指標を受けて下落、 COMEX 金先物は前月比+1.2%の1 トロイオンス =3,348.60ドルとなりました。
原油は、月中旬までは方向感の定まらない値動きとなったものの、月末に、アメリカと各国との関税合意やロシアへの経済制裁の前倒しによる原油価格上昇の期待から上昇し、 WTI原油 先物中心限月は前月比+6.4%の1 バレル =69.26ドルとなりました。
OECD景気先行指数
※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
主な経済指標
今月の注目トピック
TACO
あなたは「TACO」と書かれていたら、なんと読むでしょうか。多くの人はローマ字読みで「タコ」と読みたくなると思われます。しかし、英語では「ˈtɑː.koʊ(ターコウ)」と発音され、メキシコ料理の「タコス」と同じ発音になるそうです。
2025年7月、米国のトランプ大統領は再び高関税の発動を口にし、日本やEU、インドなど各国との通商交渉を揺さぶりました。日本でも一時的に緊張感が走りましたが、最終的には日本・EU・韓国の各国と相次いで「合意」や「協議の枠組み」が発表され、大規模な関税発動には至りませんでした。
過去にもトランプ氏は強硬な交渉姿勢を取りつつ、土壇場では手を引いたり、条件を緩めたりしており、投資家たちはそのパターンを織り込んで、“狼少年”に対するような冷静な対応をとるようになっているようです。実際、報道を見ても、関税発言があった日でも株価は大きく下がらなかったり、むしろ交渉進展への期待が株式市場を支えているような場面がありました。
7月の米国市場では、AI関連銘柄や一部好決算企業の株価上昇に加え、通商リスクが現実化しないとの安心感も手伝い、S&P500やNASDAQが月末近くまで上昇基調を維持しました。これもある意味では“TACO”が生んだ株高と言えるかもしれません。
もっとも、すべてが“TACO”で済むわけではありません。中国とは7月末時点でも交渉は続いています。市場も、対中関係についてはまだ慎重で、米中の関税応酬が現実のものとなるリスクは残されています。
「TACO=いつもの脅し」と受け流せるか、それとも現実の関税発動につながるのか──。この読みが、今後の市場を大きく揺るがすことになるかもしれません。
主な経済イベント
- 1日(火):アメリカ、ISM製造業景況感指数(7月)、雇用統計(7月)
- 9日(水):中国、消費者物価指数(7月)
- 12日(火):アメリカ、消費者物価指数(7月)
- 15日(金):中国、小売売上高・鉱工業生産指数(6月)
※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。
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