【2024年7月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2024年7月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2024年7月の金融マーケットは、各国の金融政策をめぐる動きに影響を受けた展開となりました。

 

【為替】

ドル・円は、月初に1ドル=161円台まで円安が進みましたが、月中旬にアメリカ消費者物価指数( CPI )が予想外に弱かったことを受けて米連邦準備制度( FRB )の利下げ観測が高まり、日本銀行が市場介入も行ったことから、157円台まで円高が進みました。その後は、日銀による利上げ観測が出て、日米の金利差縮小予想から円高傾向となり、月末には日銀の利上げ決定、パウエルFRB議長の9月の利下げ示唆発言を受けて円高が加速、前月比6.7%円高ドル安の1ドル=149.98円となりました。

 

【株式】

日本は、米国の株高や円安進行を受けて上昇傾向となり、月中旬に日経平均は史上最高値を更新しましたが、月後半は米株安や急速な円高進行を受けて下落、 日経平均 株価は前月比-1.2%の39,101.82円となりました。

中国は、空売り規制の強化や中国共産党による消費刺激策の強調などが行われたものの、経済指標や米中関係の悪化から月を通じて下落傾向となり、 上海総合指数 は前月比-1.0%の2,938.75となりました。

インドは、米利下げ期待や経済指標の改善、外国人投資家の買い越しから上昇し、 SENSEX指数 は前月比+3.4%の81,741.34となりました。

ヨーロッパは、月中旬に、高級ブランド企業の振るわない決算や、米国の政治的混迷を受けて下落したものの、米利下げ観測や半導体製造装置メーカーの上昇や堅調な決算発表が相場を押し上げ、 STOXX欧州600指数 は前月比+1.3%の518.18となりました。

アメリカは、インフレ鈍化を示す経済指標が発表され、利下げ見通しが強まったことから上昇し、月半ばに S&P500 、 ダウ平均 は史上最高値を更新しました。一方で、これまで相場の上昇をけん引していた大企業、ハイテク株から中小企業、別業種へと資金の流入先が移り変わり、NASDAQ指数やS&P500は下落傾向となり、ダウ平均は前月比+4.4%の40,842.79ドル、 NASDAQ は-0.8%の17,599.40、S&P500は+1.1%の5,522.30となりました。

 

【債券】

日本では、日銀による国債買い入れ減額や追加利上げへの警戒感と米国の長期金利低下や円高の影響で債券利回りが上下しましたが、月末に日銀が追加利上げを決定したことで売りが優勢となって利回りが上昇(国債価格は下落)、10年国債利回りは前月比+0.8bpの1.07%となりました。

アメリカでは、CPIデータの低調やPPIデータの影響で利下げ期待が強まり、利回りは低下傾向(債券価格は上昇)となりました。月末にはFRBが政策金利を据え置き、9月の利下げの可能性が示唆されると、国債利回りは一段と低下し、10年国債利回りは前月比-27bpの4.09%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、米利下げ期待や中東情勢の影響で上昇し、月中旬に過去最高値を更新しました。その後は利益確定売りで下落しましたが、月末に中東情勢の緊迫化で安全資産としての金買いが活発化、再上昇して史上最高値を更新、 COMEX 中心限月は、前月比+5.7%の1 トロイオンス =2473.00ドルとなりました。

原油は、月初に地政学的リスクやハリケーンの影響で上昇し、約2か月ぶりの高値を記録しましたが、中国経済の減速や米国と中国の需要低下の兆候が影響し下落傾向となりました。月末には中東情勢の緊迫化を背景に反発したものの、 WTI原油先物 中心限月は前月比-4.5%の1 バレル =77.91ドルとなりました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

日銀の金利引上げ

2024年7月31日、日本銀行は金利引き上げを決定しました。日銀の金利引上げにより、日米間の金利差が縮小し、円高が進行しました。
これまで円安傾向が続いていましたが、金利引上げの発表を受けて、円が急速に買われる展開となりました。月初には1ドル=161円台だった円が、月末には1ドル=149.98円まで上昇し、短期間で約7%の円高となりました。
円高になると、主に外貨で取引をする企業では、円に換算したときの金額が小さくなるため、決定後の8月1日、2日の日本株式は急落し、日経平均株価は2日で3,000円以上下落しました。

今回の日銀の金利引上げは、日本経済の転換点となる可能性があります。長期にわたった超低金利政策からの脱却は、経済全体に広範な影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、企業が金融機関から借り入れる際の金利の上昇や、住宅ローン、自動車ローンなどの消費者の借入金利の上昇にも影響が及ぶことが予想されます。
また、日本の金利が上昇していくとなると、アメリカとの金利差が縮小するので、これまで、日米の金利差が大きかったことから円安となっていた為替相場では、円高が進行する可能性があります。
そうすると、輸入品の値段が下がるので、物価の上昇には歯止めがかかるものの、輸出や、割安感から増えていた訪日外国人の需要、いわゆる、インバウンド需要が減少して、企業の業績に影響を与える可能性もあります。

日銀の決定と同日に、アメリカFRBのパウエル議長は9月会合での利下げ開始を示唆しました。
アメリカでは、インフレが鈍化し、雇用が弱くなってきていると見られており、今後は利下げが続いていくことが予想されています。
そうなると、日米の金利差がさらに縮小するため、さらなる円高が考えられます。

日米とも、次の政策決定会合は9月に予定されています。今後発表される経済統計が、日銀・FRBの次の政策決定にどのように影響を与えるか、市場は注視しています。
特にインフレ率や雇用統計などのデータは、政策変更の判断材料となるため、その発表に伴う市場の反応にも注目が集まります。

 

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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