【2024年9月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2024年9月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2024年9月の金融マーケットは、アメリカ・中国の景気動向に影響を受けた動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、月初に日本銀行の植田総裁の発言やアメリカでの大幅 利下げ 観測を受けて円高が進み、月半ばには1ドル=140円台まで円高が進みました。しかし、米連邦公開市場委員会( FOMC )が大幅利下げを発表した後に、植田総裁が金利引上げに慎重姿勢を見せると反転して円安傾向となりました。月末近くになると、自民党総裁選の結果を巡って乱高下し、結局、1ドル=143.62円付近で取引を終えました。

 

【株式】

日本は、月初に円高進行やアメリカ株の下落を受けて35,000円台まで下落したものの、為替が円安傾向となると緩やかに上昇。月末近くには自民党総裁選で ハト派 の高市早苗氏の勝利観測により上昇したものの、 タカ派 の石破茂氏が選出されると上昇分を消し、 日経平均 株価は前月比-1.9%の37,919.55円となりました。

中国は、月下旬に銀行預金準備率の引き下げ、株式市場での スワップ 取引導入、地方政府による不動産業支援策などが相次いで公表されて株価が急上昇し、 上海総合指数 は前月比+17.4%の3,336.50となりました。

インドは、米経済の底堅さやインド準備銀行の利下げ期待が上昇材料となって上昇、月末に過熱感から利益確定の売りが出たものの、 SENSEX指数 は前月比+2.3%の84,299.78となりました。

ヨーロッパは、月初に米経済成長鈍化や中国景気懸念で下落しましたが、欧州中央銀行( ECB )の利下げ決定や中国の景気刺激策への期待で上昇基調に転じ、 STOXX欧州600指数 は前月比-0.4%の522.89となりました。

アメリカは、月初は弱い経済指標や連邦準備制度理事会( FRB )の利下げを巡る不透明感から下落しましたが、中旬以降はFRBの大幅利下げ期待から上昇、月下旬には中国の景気刺激策発表が好感されて連日、株価指数が史上最高値を更新、 ダウ平均 は前月比+1.8%の42,330.15ドル、 NASDAQ 指数は+2.7%の18,189.17、 S&P500 は+2.0%の5,762.48となりました。

 

【債券】

日本では、月初は米国の金利上昇などから債券が売られて利回りが上昇。その後、日本銀行の利上げ観測の後退や国債の需要と供給の改善を受けて利回りは下落しましたが、月末には自民党総裁選の影響で不安定な動きとなり、10年国債利回りは前月比-2.8bpの0.894%となりました。

アメリカでは、月前半は、米国の経済指標が景気減速を示し、利下げ期待が高まったために利回りが低下。月後半には、インフレ指標が再び強含み、利下げ観測が後退して 利回り が上昇しました。また、月前半には、2022年から続いていた長短金利の逆転現象で、米景気転換を示すといわれる 逆イールド が解消、10年国債利回りは前月比-10bpの3.81%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、米 利下げ 期待と中東情勢の緊迫化により投資家のリスク回避姿勢が強まり、金の需要が高まって上昇、史上最高値を更新し、 COMEX 中心限月は、前月比+5.2%の1 トロイオンス =2659.40ドルとなりました。

原油は、月初には中国の景気減速やリビアの産油再開期待で10日には65.75ドルまで下落しました。その後、ハリケーン「フランシーヌ」の供給懸念で反発しましたが、月末にサウジアラビアの増産報道や中国の需要懸念などから再び下落し、 WTI原油先物 中心限月は前月比-7.3%の1 バレル =68.17ドルとなりました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

逆イールド解消

逆イールド」とは、債券市場において通常は長期債の利回りが短期債の利回りよりも高い状態(順イールド)が、逆転して短期債の利回りが長期債の利回りを上回る現象を指します。/br 利回りとは、債券を保有することで得られる利益の割合のことで、通常、投資家は長期間資金を預けるリスクが高いため、長期債に対してより高い利回りを求めます。 そのため、長期債の利回りが低く、短期債の利回りが高い逆イールドの状態は、市場に何らかの異常が生じているサインとされます。

逆イールドが発生する背景には、経済の先行きに対する不安があります。 例えば、中央銀行が短期的な金利を引き上げてインフレを抑えようとすると、利回りが上昇します。 一方で、投資家は景気の減速や後退を予測するので、安全資産である長期債を購入します。 そうすると、長期債の利回りが低下し、短期債と長期債の利回りが逆転します。これが逆イールドで、この現象は、歴史的に景気後退の前兆として、市場関係者の間で注目されてきました。 ※この説明は「流動性プレミアム仮説」という立場からの説明になります。債券の長短利回り差の構造(イールド・カーブ)の説明には、この他にも様々な説がありますので、あくまで1つの考え方であることにご留意ください。

2024年9月、アメリカの債券市場で2022年7月から続いていた逆イールドが解消されました。 逆イールドが解消された直後は、景気の回復が始まる可能性もありますが、過去の経験からは、逆イールドの解消後1~2年で景気後退が訪れることが多いとされています。

市場関係者の間では、逆イールドの解消は、今後の経済動向を占う上で非常に重要なシグナルとされています。 投資家にとっては、今後、景気が大きく転換する可能性があるので、様々なリスクを見据えた投資戦略が求められるからです。

今回の逆イールドの解消は、どのような変化をもたらすのか、あるいはもたらさないのか、今後の市場動向に注目です。

 

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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