【2024年10月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2024年10月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2024年10月の金融マーケットは、アメリカ大統領選挙の影響を受けた動きました。

 

【為替】

ドル・円は、月初に石破首相の追加利上げに否定的な発言を行ったことから大きく円安に振れました。その後も、日本銀行総裁による ハト派 発言やアメリカ大統領選でトランプ氏が当選するとの見方が広まったこと、底堅い米景気による利下げ観測の後退などから月を通じて円安傾向となり、結局、1ドル=152.03円付近で取引を終えました。

 

【株式】

日本は、円安を背景に月半ばまで上昇し、15日には一時4万円台を回復しました。月中旬以降は、オランダ半導体大手ASMLの決算を受けた半導体株の売りや、衆議院選での与党過半数割れの警戒感から前月末の水準まで下落したものの、選挙後には買い戻され、 日経平均株価 は前月比+3.1%の39,081.25円となりました。

中国は、国慶節後に上昇基調で始まったものの、期待された景気刺激策の発表が不十分との見方から急落し、 上海総合指数 は前月比-1.7%の3,279.82となりました。

インドは、弱い経済指標やインフレ率の上昇や利下げ期待の後退から外国人投資家の売り越しが続いて月を通じて下落、 SENSEX指数 は前月比-5.8%の79,389.06となりました。

ヨーロッパは、地政学的リスクや米大統領選に対する不透明感、ハイテク企業の決算が市場予想を下回ったことから下落し、 STOXX欧州600指数 は前月比-3.3%の505.39となりました。

アメリカは、月半ばまでは堅調な企業決算を背景に上昇し、過去最高値を付けました。しかし、月末にハイテク大手が相次いでAI関連投資に関するコスト増加を明らかにしたことから大きく下落し、 ダウ平均 は前月比-1.3%の41,763.46ドル、 NASDAQ指数 は-0.5%の18,095.15、 S&P500 は-1.0%の5,705.45となりました。

 

【債券】

日本では、月初に日銀の利上げ慎重姿勢を受けて債券が買われ利回りは低下したものの、その後は米国の金利上昇を受けて利回りが上昇し、10年国債利回りは前月比+5.3bpの0.947%となりました。

アメリカでは、月初に 雇用統計 で市場予想を上回る雇用者数の増加が公表されたことから、米連邦準備制度( FRB )による利下げ観測が後退して債券が売られて利回りが上昇。その後も米大統領選挙でのトランプ氏優勢との見方から、積極的経済政策による国債大量発行により国債価格が下落するとの見方から利回りが月を通じて上昇し、10年国債利回りは前月比+47bpの4.28%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、月上旬は下落傾向でしたが、中旬以降は中東情勢の緊迫や米大統領選を控えた不透明感から安全資産としての需要が高まって上昇傾向に転じ、一時は史上最高値1 トロイオンス =2,800ドルまで上昇。 COMEX 中心限月は、前月比+3.4%の1トロイオンス=2,749.30ドルとなりました。

原油は、月上旬は、イランのイスラエル攻撃を受けた供給懸念により77ドル台まで急騰しましたが、その後は需要低下や供給過剰への懸念から下落、 WTI原油 先物中心限月は前月比+1.6%の1 バレル =69.26ドルとなりました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

選挙と金融市場

2024年10月の金融市場では、アメリカ大統領選挙の行方を巡る思惑の影響を受けました。 「選挙」は金融市場に大きな影響を与えることがあります。特に、国の政策に変化が起きる可能性がある選挙では、投資家が結果を注視し、相場が大きく動くことがあります。 今年10月は日本でも衆議院選挙が行われましたが、選挙前に与党の苦戦が報じられると、政治の不安定化を懸念して株価が下落傾向となりました。もっとも、選挙の結果、与党が過半数割れすると、国内外企業の決算を好感して株価は上昇しました。

また、11月5日には米国大統領選挙が控え、現職のハリス副大統領とトランプ前大統領が激しく競り合っていると報じられています。 9月はハリス副大統領有利といわれていましたが、10月はトランプ前大統領有利の報道が流れました。トランプ前大統領は法人税減税や規制緩和を公約に掲げており、景気と企業利益の押し上げが期待されることから、マーケットは株高・債券利回り上昇・ドル高を予想した取引が行われました。

米国大統領選では、経済政策がどのように変わるかが市場の注目点となっています。たとえば、トランプ氏は対中政策の強化や大規模な減税、規制緩和を公約に掲げています。これにより、景気や企業利益が押し上げられるため、米国株式市場が短期的に上昇する、減税などの積極政策により財源が不足するので、国債が大量に発行されることから、債権の価値は下がって売られるので金利は上昇する、金利が上昇すると、高い金利での運用利益を求めてドルが買われるのでドル高になる、と市場は予想しています。 10月はトランプ前大統領の優勢が伝えられたことから、米国の株高・債券安(利回り上昇)・ドル高を見込んだ取引が行われ、各市場はそのように動きました。これを指して、「トランプ・トレード」などとも呼ばれました。 一方、11月に入ってハリス副大統領の優勢が伝えられると、トランプトレードが巻き戻され、株安・債券高・ドル安の動きも見られました。

このように、国政選挙は金融市場に大きな影響を与えます。 アメリカ大統領選がどのような結果に終わり、そして、マーケットがどのように動くのか、選挙後の市場の動向に要注目です。 ※このコラムはアメリカ大統領選挙開票前に執筆しています。

 

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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