【2026年1月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2026年1月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2026年1月の金融マーケットは、アメリカの中央銀行である連邦準備制度( FRB )の次期議長の指名に大きな影響を受けた動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、月中旬までは米金利の高止まりや日米金利差を背景に円安基調が続き、13日には159円台まで円安が進みました。しかし、23日、日銀が政策金利の据え置きを発表したものの、その日の夕方に2円近く円高に振れ、さらに深夜、米連邦準備制度理事会(FRB)がレートチェックを行ったとの情報が出て、日米の協調介入が意識されて、円高がさらに進行、27日にかけて152円台前半まで円高が進みました。その後は、ベッセント米財務長官の介入否定発言や、次期FRB議長に タカ派 とされるウォーシュ元FRB理事が指名されるとの情報から円安が進行、前月比1.5%円高ドル安の1ドル=154.3円で取引を終えました。

 

【株式】

日本株は、月前半は「高市トレード」や円安を追い風に、日経平均は14日には54,341円まで上昇しました。後半は円高急進や金利・財政懸念で下落しましたが、 日経平均 は前月比+5.9%の53,322.85円となりました。

中国株は、年初はAI・半導体などハイテク株高で上昇し、12日に4165.29まで上昇。後半は信用取引規制強化や投機抑制の警戒で上げ幅を縮め、 上海総合指数 は前月比+3.8%の4,117.95で取引を終えました。

インド株は、月初に企業業績期待を背景に上昇したものの、その後は米国の関税政策や地政学リスク、外国人投資家の売りで下落。月末にやや上昇したものの、 SENSEX指数 は前月比-3.5%の82,269.78となりました。

ヨーロッパ株は、月半ばにかけてハイテク株や銀行株が牽引し、614.57まで上昇しましたが、後半は米関税を巡る不透明感や地政学リスクで下落、 STOXX欧州600指数 は前月比+3.2%の611.00で終了しました。

アメリカ株は、月前半に上昇しましたが、トランプ大統領がグリーンランド問題で欧州諸国に関税を課すと警告したことから20日に急落。もっとも、翌日には合意の枠組みがまとまったと伝わり急反発しました。その後は、FRBが金利据え置きを決定するも大きな値動きは現れず、 ダウ平均 は前月比+1.7%の48,892.47ドル、 NASDAQ 指数は+0.9%の23,461.82、 S&P500 は+1.4%の6,939.03となりました。

 

【債券】

日本では、財政拡張懸念と日銀の利上げ前倒し観測で20日まで上昇し国債利回りは2.33%まで上昇しましたが、その後は片山蔵相の市場の沈静化を促す発言でやや低下し、10年国債利回りは前月比+18.1bpの2.247%となりました。

アメリカでは、月中旬にかけて、雇用や物価指標の底堅さから利下げ観測が後退して国債利回りが上昇傾向となり、20日にはトランプ大統領のグリーンランドに関する発言や日本国債の利回り上昇の影響で、4.3%台まで上昇しました。その後一時は沈静化したものの、月末に次期FRB議長にタカ派と目されるウォーシュ氏が指名されたことから、利上げが意識され、10年国債利回りは前月比+8bpの4.26%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、安全資産需要とドル安を追い風に上昇して連日最高値を更新、29日には前月比23%超上昇の1 トロイオンス =5,354.8ドルまで上昇しましたが、30日に、タカ派と目されるウォーシュ氏指名報道が出ると、利上げ観測が広がり、金利を生まない金は不利とみられて、金の利食い売りが殺到して急落、 COMEX 金先物は前月比+9.3%の1トロイオンス=4,745.10ドルとなりました。

原油は、イラン情勢や寒波、カザフスタンの原油供給不安、ドル安などを受けて上昇、 WTI原油先物 中心限月は前月比+13.6%の1 バレル =65.21ドルとなりました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

次期FRB議長人事

2026年1月の金融市場は、材料の多い月でした。日本では日米当局によるレートチェック観測をきっかけに円相場が急変し、金は安全資産需要を背景に連日史上最高値を更新、日本株は日経平均が最高値を更新する一方で、日本国債利回りは1999年以来となる水準まで上昇しました。そんな中で、一つだけにテーマを絞って取り上げたものが、「次期FRB議長人事」です。

月末にかけて、トランプ大統領が次期FRB議長として、 タカ派 で金利引き下げに消極的だったケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名するとの報道が伝わると、金融市場は大きく反応しました。それまで低下していた米国債利回りは再び上昇し、ドルは反発、それまで上昇を続けていた金は利食い売りが殺到して急落しました。わずか一つの人事報道が、株・債券・為替・商品を同時に動かしたのです。

この動きの背景にあるのが、前月から続いていた「ディベースメント取引」です。ディベースメントとは、通貨価値の希薄化を意味し、金融市場では、財政赤字の拡大や国債増発によって法定通貨の信認が低下することを指します。12月から1月前半にかけて、市場では米国の利下げ観測と財政悪化懸念が同時に意識され、「金利が高いのに金が買われ、ドルが売られる」という、教科書的には理解しにくい動きが続きました。これは、市場には、短期的な金利水準よりも、「通貨そのものの価値」に懸念があったことを示しています。こうした状況では、株式や金などの通貨以外の資産が買われる傾向が見られ、これをディベースメント取引といいます。

こうした環境下での代表的な資金の受け皿が、金となります。実際、次期FRB議長人事が発表される30日まで、金価格は連日のように最高値を更新していました。しかし、ウォーシュ氏の指名報道が出されると、金は終値ベースで609.7ドル(-11.3%)下落しました。

これは、ウォーシュ氏は、金融緩和に慎重で、インフレ抑制や中央銀行の規律を重視する姿勢で知られていたため、市場はこの人事を、「FRBがインフレと通貨価値の維持をより重視する方向に傾く可能性がある」と受け止め、通貨価値の希薄化を前提とした取引を一気に巻き戻そうとしました。その結果、それまでの傾向とは逆に、金は急落し、米金利とドルが反発するという、結果になったのです。

日本の市場動向も、この文脈の中で理解することができます。日本国債利回りの上昇は、日銀の利上げ観測や財政拡張懸念を背景にしていますが、円相場は必ずしも金利上昇に素直に反応していません。そこには、世界的なディベースメント懸念の中で、相対的にどの通貨が「より信認できるか」を見極めようとする動きがありました。1月20日にはアメリカ当局によるレートチェックが行われたとの報道が出て、円が急騰しました。

レートチェックは、中央銀行が民間銀行などの市場参加者に、為替の取引レートに関して問い合わせることで、為替介入の準備行為とされています。通常、米国は自国の通貨安誘導には極めて慎重です。他国が為替操作を行うことを厳しく批判し、『為替操作国』として制裁さえ検討する立場にあるからです。

その米国が、あえて為替介入の準備行為であるレートチェックに動いた――。この事実は市場に衝撃を与えました。『今回は本気だ』『日米協調介入があるかもしれない』との観測が一気に広がり、片山蔵相の円安牽制発言も相まって、相場は3日間で158円台から152円台まで急激に円高方向へ巻き戻されました。

もっとも、そうした円の急騰も、次期FRB議長の指名で転換し、2月2日の終値は155.60円と円安に振れています。ほかの市場の要因もあるとはいえ、次期FRB議長の指名は金融市場に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

今月の市場は、単なる金利差や景気指標では説明しきれない動きがありました。その中心にあったのが、「通貨の価値を誰が、どのように守るのか」という問いです。次期FRB議長人事は、その象徴的なイベントでした。ウォーシュ氏の指名を巡る報道は、金融市場が、人事や政策スタンス一つで容易に反転することを示したといえるでしょう。

2026年の金融市場は、金利水準そのものよりも、中央銀行の姿勢や通貨の信認がより強く意識される局面に入りつつあるのかもしれません。2月以降の金融市場がどのように動くのか、要注目です。

 

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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