2021年11月の金融マーケットの動きをまとめています。
マーケットの動向
マーケット概況
【全体】
2021年11月は、月初はイギリスが 利上げ を見送り、アメリカも テーパリングの開始を決定したものの利上げは急がない方針を示したことから、概して、 債券利回り が低下し、株などのリスク資産が上昇しました。
月中旬になると、アメリカでCPI( 消費者物価指数 )が大幅上昇したことなどから、債券が売られて利回りが上昇、株式もやや下落傾向となりました。
月末近くに感染力の強い新型コロナウイルスの変異株(オミクロン株)が検出されたことが発表されると、 リスクオフ の動きが広まり、株などのリスク資産は売られ、債券が買われて利回りが上昇、通貨は円やスイス・フランなどの安全とみなされる通貨が買われました。
【為替】
ドル・円は、月上旬にアメリカの早期 利上げ 観測後退による金利低下を受けて112円台まで円高となりました。
中旬からはアメリカの CPI の大幅上昇などから、ドルは各国通貨に対して上昇し、115円台まで円安が進みました。
しかし、月末近くにオミクロン株検出が発表されると、 リスクオフ の動きが広まって円が買われ、前月比0.8%円高ドル安の1ドル=113.13円となりました。
【株式】
日本株は、月初は衆院選で自民党が絶対安定多数を確保したことから日経平均は29,000円台を回復しました。
その後も29,000円台を維持したものの、月末近くにオミクロン株検出のニュースが伝わると大幅に下落し、 日経平均 は前月比-3.7%の27,821.76円で引けました。
中国は、経済見通しへの懸念が高まり株価が下落基調となりましたが、新型コロナ感染の落ち着きや政策緩和期待の高まり、中国人民銀行による、潤沢な流動性維持と小規模事業者の資金調達コスト負担を軽減するとの発表などから上昇基調となり、中国 上海総合指数 は前月比+0.5%の3,563.89となりました。
インドは、インフレ率の高止まりや、格下げ、外国人の売り越しが続いたことなどから下落、オミクロン株検出の影響もうけて、インド SENSEX指数 は-3.8%の57,064.87となりました。
ヨーロッパは、イングランド銀行の利上げ見送りや好調な企業決算の発表が続いたことから上昇しましたが、新型コロナウイルスの感染再拡大やオミクロン株の検出を受けて下落に転じ、 STOXX欧州600指数 は前月比-2.6%の465.96となりました。
アメリカは、月初は主要株価指数が最高値を更新しましたが、月半ば以降、CPIの大幅上昇が発表されると高インフレの長期化が懸念されて下落傾向に転じました。
月末近くにオミクロン株検出が伝わると、株価は下落幅を拡大、 ダウ平均 は前月比-3.7%の34,483.72ドル、 NASDAQ は+0.3%の15,537.69、 S&P500 は-0.8%の4,567.00となりました。
【債券】
日本では、月初はアメリカ・ヨーロッパで金利上昇懸念が後退したことから利回りが低下、月半ば以降は上昇したものの、オミクロン株検出を受けて債券が買われて利回りは低下し、 長期金利 の指標 となる10年国債利回りは-3 bp 低下の0.07%となりました。
アメリカでは、月上旬は、利上げ観測の後退から 債券利回り は低下したものの、月中旬になるとインフレ懸念から債券が売られて利回りは上昇しました。
月末近くにオミクロン株検出が伝わると、安全資産への逃避の動きから米国債が買われて利回りは低下、30年米国債利回りは15 bp 低下の1.78%となりました。
【商品】
海外商品市場では、金は、月前半は、利上げ観測が後退したことから金が買われて上昇したものの、月後半になると債券利回りが上昇して金利を生まない金は売られて下落、 COMEX 中心限月は前月比-0.4%の1 トロイオンス =1,776.5ドルとなりました。
原油は、アメリカでの原油在庫の積み上がりや、月末近くにオミクロン株検出を受けたロックダウンによる需要減少が懸念されて大きく下落、 WTI原油先物 中心限月は前月比-20.8%の1 バレル =66.18ドルで引けました。
主な経済指標
今月の注目トピック
オミクロン(ο)株
『オミクロン株』は新型コロナウイルスの変異株の1つです。
世界保健機関(WHO)が「懸念される変異株」に指定したもので、名前はギリシャ文字のアルファベット「ο(オミクロン)」によります。2021年12月7日時点では、詳しいことは判明していませんが、2021年夏に日本で流行したデルタ株より感染力が高く、ワクチンの効果も低下するのではないかと懸念されています。
11月のマーケットでは、オミクロン株の感染が広がると、各国でロックダウンが再び行われて、景気が悪化するのではないかとの見方が出ており、株などのリスク資産が売られて債券などの安全とされる資産が買われるという動きがみられました。
主な経済イベント
・2日(木):アメリカ、 ISM製造業景況感指数 (11月)
・3日(金):アメリカ、 雇用統計 (11月)
・10日(金):アメリカ、 消費者物価指数(11月)
・15日(水):中国、 鉱工業生産指数 ・小売売上高
・15日(水):アメリカ、 FOMC ( 連邦公開市場委員会 )
・16日(木):EU、 欧州中央銀行理事会
・17日(金):日本、 日銀金融政策決定会合
※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。
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