【2025年4月】月次マーケット・レポート

マーケット・レポート

 

2025年4月の金融マーケットの動きをまとめています。

マーケットの動向

マーケット概況

【全体】

2025年4月の金融マーケットも、アメリカのトランプ大統領の通商政策に影響を受けた動きとなりました。

 

【為替】

ドル・円は、アメリカの景気後退懸念や関税政策への不安、アメリカ連邦準備制度( FRB )の独立性に対する懸念から、月初から円高が進み、一時1ドル=140円台前半まで上昇しました。しかし、月下旬に入ると、米中の通商交渉の進展期待や関税の緩和観測などを受けてドルが買い戻され、円安基調に転じ、月末には143円台を回復、前月比4.6%円高ドル安の1ドル=143.07円で取引を終えました。

 

【株式】

日本株は、月初に米国の相互関税や中国の報復関税への懸念から急落しましたが、その後は関税緩和観測や米株高を受けて上昇基調となり、月末に大きく上昇、 日経平均 は前月比+7.8%の38,405.66円となりました。

中国株は、月初に米中関税応酬の激化懸念から大幅安となりましたが、その後は政府系ファンドの買い支えや政策期待が下支えとなり、緩やかに回復、 上海総合指数 は前月比-1.7%の3,279.03で取引を終えました。

インドは、月初に米国の関税政策への警戒などから大きく下落しましたが、利下げ期待や外国人投資家の買い戻し、米印通商交渉の進展観測などから上昇、 SENSEX指数 は前月比+3.7%の80,242.24となりました。

ヨーロッパは、月初に米中貿易摩擦の激化懸念から大きく下落しましたが、月中以降は関税緩和への期待や堅調な企業決算を背景に緩やかに回復、 STOXX欧州600指数 は前月比-1.2%の527.48で終了しました。

アメリカは、月初にトランプ政権の相互関税発表を受けて景気後退懸念が強まり、大幅に下落、S&P500は一時5,000ポイントを割り込みましたが、その後は関税緩和への期待や主要企業の決算を好感する動きが強まり、上昇しました。米中通商交渉の進展観測やFRBの利下げ期待も追い風となり、 ダウ平均 は前月比-3.2%の40,669.36ドル、 NASDAQ指数 は+0.9%の17,446.34、 S&P500 は-0.8%の5,569.06となりました。

 

【債券】

日本では、月初にトランプ政権の関税政策への警戒感や株安・円高によるリスク回避の動きから急低下しました。その後、関税緩和観測や株高・円安を受けて上昇し、月半ば以降は概ね横ばいで推移し、10年国債利回りは前月比-16.7bpの1.330%となりました。

アメリカでは、月初に関税政策への警戒から大きく低下しましたが、その後、国債の需給悪化や米政策を巡る混乱で上昇。月後半には関税緩和観測や利下げ期待が強まり、再び低下に転じ、10年国債利回りは前月比-6.0bpの4.17%となりました。

 

【商品】

海外商品市場では、金は、月初に関税発表を巡る不透明感から急落しましたが、地政学リスクや米金融政策への懸念を背景に急反発し、月中には史上最高値を更新しました。月末は利益確定売りが出てやや下落、 COMEX 金先物中心限月は前月比+5.4%の1 トロイオンス =3,319.10ドルとなりました。

原油は、月初に米中貿易摩擦激化やOPECプラスの増産で大幅安となり、その後一時反発したものの、世界的な景気減速懸念と供給過剰懸念が再燃し、月末に再び下落、 WTI原油先物 中心限月は前月比-18.6%の1 バレル =58.21ドルとなりました。

 

OECD景気先行指数

※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。

 

主な経済指標

 

今月の注目トピック

金価格が示す「安全資産」への回帰

2025年4月、 COMEX 金先物価格は月間を通じて堅調に推移し、月中には一時、史上最高値を更新して3430.57ドルをつけました。 月末には一服したものの、前月比で+5.4%と2ヶ月連続の大幅上昇となり、マーケットの不安心理と構造的な変化の双方を映し出す存在となっています。

金の価格が上昇している直接的な理由としては、まず「地政学リスクの高まり」や「アメリカ経済・金融政策への不透明感」など、リスク回避の動きが挙げられます。 トランプ政権の相互関税導入方針により景気後退懸念が強まり、株式市場が不安定になるなかで、「金は有事の資産」として買われる構図です。

ただ、今回の金高には、それを超える構造的な背景があると考えられます。それは、国際通貨体制に対する信認の揺らぎと、「ドル離れ」の兆候です。

具体的には、ロシアや中国を中心に、BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国などの新興国)が外貨準備や国際取引決済においてドル依存を減らす動きを強めています。 ロシア中銀や人民銀行が保有する金準備は近年大きく拡大しており、実際、2023年以降の金価格の押し上げ要因の一部は、これら「実需の買い」によるものとされています。

これは、米国の制裁リスクやドル体制への対抗として金を保有していることの表れともいえるかもしれません。

また、個人投資家にとっても、 インフレ ヘッジや通貨価値の低下への備えとして金の存在感が再評価されているようです。世界各国の財政支出が拡大し、中央銀行のバランスシートも肥大化する中、「金には利息が付かない」という欠点よりも、「国や企業という発行体の状況に左右されない資産」という、金の本質的な価値が重視されているということです。

こうした動きが続けば、金は「一時的な避難先」ではなく、「構造的な資産防衛手段」として位置づけられていくかもしれません。

もっとも、今後の金価格の動向を予測することは簡単ではなく、上昇を続けるとは限りません。しかし、「株と債券の分散では足りない」と感じる投資家にとって、金は『最後の安全資産』としての重みを増しているとはいえるのかもしれません。

今後、金価格がどのように推移していくのか、引き続き注視していく必要がありそうです。

 

 

主な経済イベント

 

 

 

 

 

※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。

※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。

※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。

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