2026年7月の金融マーケットの動きをまとめています。
マーケットの動向
マーケット概況
【全体】
2026年7月の金融マーケットも、アメリカ・イラン戦争の影響を大きく受けた動きとなりました
【為替】
ドル・円は、アメリカの景気の底堅さや日米金利差の拡大が意識され、月末近くまでは円安ドル高で推移し、23日には一時1ドル=163.85円まで円安が進みました。しかし、その後は、急激な円安進行への警戒感が高まったほか、30、31日には日米による協調介入を受けて円が買い戻され、前月比3.1%円高ドル安の1ドル=157.57円で取引を終えました。
【株式】
日本株は、月初に 日経平均 が70,474.96円まで上昇しましたが、その後は利益確定売りや先行きへの警戒感から下落基調となりました。月末にやや持ち直したものの、前月比-8.1%の64,362.02円で取引を終えました。
中国株は、月初に 上海総合指数 が4,112.45まで上昇しましたが、中国経済への慎重姿勢や中東情勢、ハイテク株への売りを背景に下落基調となり、前月比-6.4%の3,832.26で取引を終えました。
インド株は、月上旬に原油安や海外投資家の買いを受けて上昇しました。その後は中東情勢や原油価格への警戒から不安定な動きとなりましたが、月末にかけて持ち直し、 SENSEX指数 は前月比+2.1%の78,094.64となりました。
ヨーロッパ株は、月初は中東情勢や米利上げ観測への警戒から不安定な動きとなりましたが、その後は投資家心理の改善を受けて緩やかに上昇し、 STOXX欧州600指数 は前月比+1.2%の649.19で終了しました。
アメリカ株は、月初にS&P500指数が高値を付けたものの、その後は中東情勢やFRBの利上げ観測、ハイテク株への利益確定売りを巡る警戒感から不安定な展開となりました。月後半には下落基調となりましたが、月末にかけて持ち直し、 ダウ平均 は前月比+0.3%の52,485.03ドル、 NASDAQ 指数は-3.2%の25,373.85、 S&P500 は前月比-0.1%の7,489.72となりました。
【債券】
日本では、日銀の追加利上げ観測や国債需給を巡る見方が意識され、月上旬に利回りが上昇しました。その後、中旬にはいったん低下しましたが、インフレ懸念から下旬に再び上昇し、10年国債利回りは前月比+11.1bpの2.801%となりました。
アメリカでは、米景気の底堅さや原油高による インフレ 懸念を背景に、 FRB の利上げ観測が意識され、月を通じて国債利回りは上昇基調となりました。月末にかけて上昇幅を広げ、10年国債利回りは前月比+31bpの4.75%となりました。
【商品】
海外商品市場では、金は、米利回りやFRBの利上げ観測、中東情勢を巡る見方に左右され、不安定な動きとなりました。月中には3,992.10ドルまで下落する場面もありましたが、その後は持ち直し、 COMEX 金先物中心限月は前月比+1.7%の1 トロイオンス =4,107.0ドルとなりました。
原油は、中東情勢の緊迫化を背景に供給不安が高まり、月を通じて上昇基調となりました。23日には92.19ドルまで上昇しました。その後は利益確定売りなどから下落したものの、 WTI先物 中心限月は前月比+21.8%の1 バレル =84.67ドルとなりました。
OECD景気先行指数
※『OECD景気先行指数』は、 経済協力開発機構 (OECD)が公表しているもので、各国の景気転換点の兆候を早期に捉えるために開発された指数です。
主な経済指標
今月の注目トピック
協調介入は円安局面の転換点となるか
2026年7月の外国為替市場では、円安ドル高が進み、23日には終値ベースで一時1ドル=163.85円まで円安が進みました。しかし、月末には急激な円安進行への警戒感が高まり、30日、31日には日米による協調介入を受けて円が買い戻されました。その結果、ドル・円は月末に1ドル=157.57円まで円高方向に押し戻されました。
為替介入とは、通貨当局が外国為替市場で通貨を売買し、急激な為替変動を抑えようとするものです。円安が進みすぎている場合には、円を買い、ドルなどの外貨を売ることで、円高方向への動きを促します。
今回の動きで特に注目されるのは、日本だけでなく、アメリカも介入に参加した「協調介入」だった点です。協調介入とは、複数の国の通貨当局が連携して介入を行うことです。単独介入よりも市場に与えるメッセージは強く、各国がその為替水準や市場の動きを問題視していることを示す意味があります。
これまでの円買い介入は、日本側が急激な円安を抑えるために単独で行うものが中心でした。そのため、市場では、介入によって一時的に円高に振れても、日米金利差が大きい限り、いずれ円安方向に戻るのではないか、という見方から、介入後も円を売ってドルを買う動きが続いていました。しかし、今回はアメリカも円安是正に動いたことから、従来の日本単独の介入とは意味合いが異なってきます。
アメリカが協調介入に踏み切った背景には、過度な円安がアメリカにとっても無視しにくい問題になってきたことがあると考えられます。円安が進むと、日本からの輸出品はドル建てで見て割安になりやすく、日本企業の価格競争力が高まります。その一方で、アメリカの製造業や輸出企業にとっては競争上の不利につながる可能性があります。トランプ政権が国内産業の保護を重視していることを踏まえると、行き過ぎた円安を放置しにくい状況になっていると考えられます。
また、今回の協調介入に先立ち、ベッセント米財務長官が日本の金利政策に言及していたことも注目されます。為替相場は、金利差の影響を強く受けます。日本の金利が低く、アメリカの金利が高い状態が続けば、より高い利回りを求めて円を売ってドルを買う動きが出やすくなります。そのため、円安を本格的に抑えるには、為替介入だけでなく、日本側の金融政策も重要になります。通常、一国の財務長官が、他国の金融政策について具体的に発言することはないことから、この発言はかなり異例のものであり、アメリカの円安に関する問題意識の強さが推察されます。
日銀は7月31日の金融政策決定会合で金利を据え置きました。しかし、上記のようなことを考えると、アメリカでも根強い金利引き上げ観測があることから、日米の金利差を縮めるため、次回の9月会合以降では、追加利上げの可能性が意識されやすくなると考えられます。日銀が利上げに動けば、日米金利差の縮小を通じて円安を抑える要因になります。一方で、金利上昇は家計や企業にも影響します。住宅ローン金利が上がれば住宅購入者の負担が増え、企業にとっても借入れによる設備投資や事業拡大の重荷になります。不動産価格や株式市場にも影響が及ぶ可能性があります。
今回の協調介入は、単に円安を一時的に止めるための対応にとどまらず、日米が過度な円安を容認しない姿勢を示したものと受け止められます。今回の協調介入が円安局面の転換点となるのか、今後の動きに注目です。
主な経済イベント
- 3日(月):アメリカ、ISM製造業景況感指数(7月)
- 7日(金):アメリカ、雇用統計(7月)
- 9日(日):中国、消費者物価指数(7月)
- 12日(水):アメリカ、消費者物価指数(7月)
- 17日(月):中国、小売売上高・鉱工業生産指数(7月)
※ このレポートは対象月の各マーケットの動向を要約したものであり、本資料における記載、データ及び図表等は将来の資産状況の成果を保証または予想するものではありません。
※ このレポートは、当社が事実であると認める情報等をもとに作成していますが、その内容が事実であること、正確であることなどについては、一切の保障及び責任を負うことはできませんので、これらのことをご承知おきの上でご利用ください。
※ このレポートは、世界・日本の経済や各金融市場の大まかな動きを知る参考とするために作成されたものです。このレポートに記載された情報を参考に有価証券などに投資などを行い、損失が発生したとしても、当社は一切の責任を負うことはできません。
※ 有価証券などへの投資に当たっては、ご自身の財産状況や移行などを把握されたうえで、発生する利益・損失に関しては自己責任であり、ご自身以外の人は責任を負えないことをご理解・ご容認の上で行ってください。



コメント